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みやげもんコレクション:宝扇(奈良県/奈良市)

旅先で出会ったら、ぜひともお供に連れて帰りたくなる郷土色豊かな玩具や縁起物などの「みやげもん」たち。Google Mapで全国のコレクションが見られる「みやげもんマップ」も。

edit: Shogo Kawabata

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不殺生の聖人に由来するうちわ

奈良の唐招提寺といえば、多くの苦難を乗り越えて来日を果たした鑑真和上の開いた寺院。南都六宗の一つである律宗の総本山です。そんな唐招提寺で毎年5月19日の『中興忌梵網会(ちゅうこうきぼんもうえ)』に行われる「うちわまき」は、鎌倉時代の高僧・覚盛上人の遺徳を偲(しの)ぶ伝統行事です。

覚盛上人は不殺生の戒律を厳守し、蚊を殺そうとした弟子を戒めた、という故事にちなんでおり、上人の亡くなった後、蚊を払うための宝扇を供えたのが始まりといわれています。

宝扇
宝扇1,000円。

僧侶たちによって作られたハート形の宝扇は、国宝の鼓楼からまかれ、参拝客が競うように手を伸ばして受け止めます。まかれた宝扇を取れなくてもご安心を。唐招提寺売店にて通年授与もされています。宝扇には「千手観音」や「烏枢沙摩(うすさま)明王」の真言が書かれ、魔除けや病気平癒の御利益があると信じられています。

かつてのうちわまきの様子を描いた絵馬
かつてのうちわまきの様子を描いた絵馬。800円(共に唐招提寺 TEL:0742-33-7900)。

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