疳の虫を抑えてくれる土笛の妖怪
青森県弘前市に伝わる代表的な郷土玩具に、下川原(したかわら)地区の鳩笛があります。かつて下川原は津軽藩十万石の御用窯として、多くの器などを生産していました。その器などを作る合間に、子供たちの玩具として作られたのが鳩笛をはじめとした人形笛です。
ほぼすべての作品に吹き口がついていて笛になっているのが特徴です。昔は、子供に土をなめさせると疳(かん)の虫が治まる、と信じられていました。そこで土でできた土笛を子供に吹かせると疳の虫除けになるとされ、幼児には玩具として土笛を与える習慣が生まれました。
今回紹介するのは、下川原の人形笛の中でも珍しい妖怪シリーズのもの。写真は「箕(み)」がモチーフになった妖怪。そのほかにも酒樽や鍋など、日常的に使うものの中でも不思議な力が潜んでいると信じられていたものが人形笛になっています。