商都・大阪の年始の風物詩。商売繁盛の福笹
大阪の年中行事である「十日戎(とおかえびす)」。江戸時代中期から盛大に行われるようになったもので、毎年1月9日・10日・11日になると、商売繁盛を願う参拝者が各社を訪れ、境内にはお神楽の掛け声や、鉦(かね)や太鼓の囃子(はやし)が響き渡るなど、大いに賑わいます。
そこで授与されるのが、「福笹」。五枚笹の枝に、古くから伝わる、様々な宝物を模して作った飾り物である小宝と短冊を付けたもので、そこに、さらに思い思いに、熊手や俵、箕(みの)、宝財布、絵馬、千万両箱、鯛などの縁起物を付け足し、自分なりの福笹を仕上げてもらい、商売繁盛を祈って家や職場へと持ち帰ります。昔から「ミナミの今宮、キタの堀川」と称され、特に今宮戎(えびす)神社と堀川戎神社の十日戎は、数十万人の規模の特別な賑わいを見せています。
今回ご紹介するのは、1400年以上前の欽明天皇の時代に蛭子大神(えびすのおおかみ)を祀(まつ)って創建された堀川戎神社の福笹です。堀川の小宝は、大正時代の絵師である川崎巨泉が残した玩具絵にも記されていて、その時代から今もほとんど変わっていない伝統的なもの。100年近く変わらない小宝は非常に貴重です。