柳宗悦も愛した青森の土人形
「青森の兎(うさぎ)」は、青森県青森市に伝わる、素朴な郷土玩具です。
青森市の骨董商・福原英治郎さんが昭和55(1980)年頃まで製作していた土人形で、型を使わず、粘土を指先でこね上げて手びねりによって形作られていました。そのため、一体一体が異なる表情を持つのが特徴です。福原さんの土人形は、その温かみのある造形から高く評価され、柳宗悦が著書の『民と美』の中で「如何にも日本の玩具に見られる柔らかさ親しさ、平和を示している好個の一例であろう」と紹介しています。

しかし、残念ながら後継者がおらず、1代限りで途絶えてしまいます。近年、この「青森の兎」を日本各地の郷土玩具の復元を手がける〈まんろく工房〉千葉孝嗣さんが蘇らせました。成形には当時と同じく手びねりの技法を用い、焼成後の彩色も古い資料を基に丁寧に再現されています。

背面の小さな尾もかわいらしい。