笹野一刀彫のルーツといわれる疫病除け
その昔、征夷大将軍の坂上田村麻呂が国家の安泰を願い観音菩薩を勧請(かんじょう)したことが始まりとなったと伝わる、山形県米沢市の笹野観音。
この地で千数百年続く伝統工芸「笹野一刀彫」も、この坂上田村麻呂が観音菩薩を勧請したのを機会に、信仰玩具として作り始められたと言われています。それが民衆の間で蘇民将来を彫る習慣として定着し、そのおかげで一帯は疫病がなかったのだとか。
笹野一刀彫はアイヌの技法である「イナウ」と呼ばれる削り掛け技法が特徴の野趣あふれる木彫り玩具。上杉鷹山公が、豪雪の冬の副業として指導したことで産業化し、山形の代表的な郷土玩具である「お鷹ぽっぽ」のほか、「蘇民将来」を作ることも推奨していました。
現在では、笹野観音で笹野一刀彫による蘇民将来が授与されており、疫病除けの護符として信仰を集めています。