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日本のドーナツ文化に“はじまり”をもたらしたミスタードーナツの軌跡

50年以上にわたり日本で愛されるミスタードーナツ。アメリカのカルチャーを反映した店作り、原田治ら気鋭のイラストレーターを起用したグッズなど、世代を問わず人々の思い出を作ってきた。日本のドーナツ文化に“はじまり”をもたらしたミスタードーナツの軌跡。

photo: Wakana Ono (shop), Keiko Nakajima / text: Emi Fukushima

アメリカの空気を感じるショップデザイン

アメリカ発祥のミスタードーナツ。1980年代には、“アメリカが青春だった頃のアメリカがある”を標傍するなど、「アメリカらしさ」をコンセプトに多彩な店舗デザインを展開。耳目を引くのが、80年代に渋谷や新宿をはじめ全国で「21世紀に向けて」登場した「21タイプ」。50年代のアメリカを意識し、ネオンサインきらめく店内にはジュークボックスやメリーゴーラウンドを設置。当時の憧れを、エンターテインメント性をもって表現した。

音楽も、ドーナツをおいしくする要素

創業期には店内BGMにオールディーズを取り入れるなど、良質な音楽とつながりが深いのもミスタードーナツならでは。1970年代にシェイク販促の一環で、ポール・アンカとニール・セダカの楽曲を特別仕様のドーナツ盤で配布したのを皮切りに、96年に山下達郎の「ドーナツ・ソング」を、2012年にDREAMS COME TRUEの「愛がたどりつく場所」をCM曲に起用した。

憧れのイラストレーターのパッケージとグッズで、
食卓にもカルチャーを

1970年代のオイルショックによる商品の値上げに際し、「お客様へのお礼返し」として始まったオリジナルグッズの開発。特に85年から始まった、300円ごとに配布するスクラッチカードで10ポイント集めて景品と交換できるラッキーカードキャンペーンは、グッズに原田治やペーター佐藤ら時のイラストレーターを次々起用し一躍人気に。これらを目当てにミスタードーナツを利用する人も少なくなかった。

パティスリーとの共同開発も

「豊富な商品の中から“選ぶ楽しさ”を味わってほしい」との創業者の思いを受け継ぎ、近年力を入れているのは「misdo meets」と称した他社との共同開発商品の展開。特筆すべきは、ピエール マルコリーニやヴィタメールなど、世界的なショコラティエやパティスリーとのタッグ。本格的な味が手頃な価格で楽しめると、ファンの心を掴んでいる。