〈南風〉結成は今から約4年前。旧知の仲でクルマ好きの2人、柴田一哉さんと岩崎達也さんが、岩崎さんの当時の愛車、メルセデス・ベンツ「Gクラス」で出かけたのが、世にも珍しい「試乗チーム」誕生のきっかけになっている。
「Gクラスに乗っていると言うとだいたい“儲かってるね”と返されるんですが、“いいクルマだよね”と言ってくれたのが柴田さん。2人でドライブに行って、コーヒー片手にケーキも食べながら、クルマの話で盛り上がりました。その流れで、僕のクライアントでもあった、京都を中心に各メーカーのディーラーを展開するマツシマホールディングスさんなどを訪れて試乗させてもらう、南風の活動が始まったんです」と岩崎さん。
柴田さんは、ウェブやカタログではなく、試乗するからこそわかることとして、「例えば、以前『マツダ3』に試乗した時、こんなにいいクルマなのかと衝撃を受けました。自分の中にあったイメージや先入観を壊してくれるのが試乗の醍醐味です」と解説。
その後、クルマに全く興味がなかった土門蘭さんと佐野譲さんの2人がなぜかチームに合流することに。4人はこれまで、さまざまなメーカーのさまざまな新車に次々に試乗してきたのだ。
「乗ってみると、メーカーごとの哲学が感じられ、同じサイズ感のクルマでも全くの別物とわかりました」と土門さん。佐野さんも、「ハンドルを握ると自分との相性がわかって面白い」と、2人はすっかりクルマ好きの仲間入り。
デザインで選びたいクルマ
リラックスできるクルマ
走りが楽しいクルマ
いつか乗りたいクルマ
次に試乗したいクルマ
面白いのが、活動を通じて4人ともクルマを購入しているところ。土門さんも佐野さんも、ファーストカー購入に至っている。
初の愛車に白いフィアット「500(チンクエチェント)」を選んだ土門さんは、「それまで、駐車場代や維持費を考えると断然タクシーの方が安上がりで合理的。クルマは必要ないと思っていました。でも、試乗するうちに必要だから乗るのではなくて楽しいから乗るんだと気づきました」とマイカー所有の意義を独自に解明。
「チンクエチェントに乗るとそれだけで元気に。バスやタクシーと違って自分がイニシアティブを握って移動できる」と続ける。
試乗を通じて「デカいのが好き」と自己分析を完了した佐野さんの初の愛車はマツダ「CX-8」。
「クルマに乗るようになってわかったのは、動く個室の面白さ。一人で乗ると味わえる自分だけのパーソナルな移動空間は、ほかの移動手段にない感覚」だとか。
これまで数台を乗り継いできた柴田さんも、新たな愛車購入に踏み切れたのは、南風の存在が大きかったと振り返る。
「アウディ『A4オールロードクワトロ』はずっと乗りたかったものの、その価格から手を出せずにいたクルマ。4人でオールロードクワトロの試乗に行った帰りに道の駅に立ち寄って、ウェブ上のシミュレーターを使って色や仕様をどうするか4人で試して盛り上がり、その勢いのまま、結局、ほぼシミュレーション通りの色と仕様で購入に至りました」という。
納車時はメンバー全員が集合し記念撮影するのが恒例だ。

土門さんにとって、メンバーの2人は心強い相談役でもある。現金払いやローン、最近はサブスクなど、さまざまな買い方がある中で「残価設定ローン」を選んだのは岩崎さんのアドバイスから。
「土門さんは初購入ということもあり、月の支払いを抑えつつ値引きが大きい残価設定ローンという結論に。自分もトヨタ『ランドクルーザーGRS』は、残価設定ローンで買いました」と岩崎さん。柴田さんは、エコカー減税や補助金といったおトクな制度を調べて教えてくれたとか。
そもそも4人が新車を選ぶのは、柴田さんは雪山に行くからで、岩崎さんは先進性を求めて。初購入の2人は手間をかけずに乗りたいと考えたとか。旧車にはない安心感も、新車ならではの価値なのだ。
選ぶクルマも買い方も、それぞれ異なる4人組。欲しいクルマに加え、自分の性格や意外な価値観に試乗が改めて気づかせてくれる。
試乗の末に4人が選んだ4台のクルマ
新車にまつわるお金の話
クルマにも「サブスク」
「残価設定ローン」とは?