TEXTILE
鮮やかなカラーと大胆な幾何学的な模様。思わず笑顔になってしまうユーモアセンスたっぷりのグラフィックで、数多くのテキスタイルを世に送り出したジラード。メキシコの色味から発想を得た「Fruit Tree」や色とりどりの果物からなる「Alphabet」等、それまで単調で地味だったオフィスのファブリックに革命を起こした。「明るい原色を見ようものなら、人々は気絶するほどびっくりするのです」と当時のコメントより。
FURNITURE & PRODUCT
インテリアデザインと合わせて、家具やプロダクトのデザインの仕事も多いジラード。1943年には〈デトローラ〉のラジオキャビネットのデザインを手がけ、新しい素材を使った斬新なデザインを世に送り出した。本格的に家具デザインに乗り出したのは67年。〈ハーマンミラー〉を母体としてジラード・グループ・ファニチャーを設立し、25種類のユニークな家具をデザインした。しかし販売数も流通量も少ないため、現存するものは稀少である。
EXHIBITION
ものの背後にあるストーリーを重要視したジラードのデザイン哲学がギュッと凝縮されているのが、サンタフェにある〈インターナショナル・フォーク・アート・ミュージアム〉の「ジラード・ウィング」だ。ジラードは生涯をかけて集めてきた10万6,000点にも及ぶ世界各国から集めたフォークアートや玩具をミュージアムに寄贈した。ここに収められたコレクションは、すべての展示構成や什器(じゅうき)デザインをジラード本人が手がけている。
ART DIRECTION
ジラードの完璧主義が冴え渡る仕事がブラニフ航空。パッと目に留まる7色を機体のキーカラーとし、尾翼は白でBIのロゴを目立たせ、車両やカート、コンテナまでも同じカラーで統一する徹底っぷり。機内のインテリアには56種類ものファブリックをデザインし、制服のデザインにはエミリオ・プッチを起用。空港ラウンジには、彼の家具のほかにイームズのチェアが並び、ジラードがセレクトしたフォークアートが彩りを添えた。
RESTAURANT
建築とインテリア、家具や什器、カトラリーや食器のデザインからショップカードやメニューのグラフィック、店員のコスチュームまで、ジャンルの境界なく一つの世界を作ったジラード。その哲学はレストランのデザインにも表れている。ニューヨークにあった〈ラ・フォンダ・デル・ソル〉(1960年)や〈レトワール〉(66年)の2つが好例だ。現存するレストランとしては、サンタフェの〈ザ・コンパウンド・レストラン〉(67年)がある。
SHOP
様々な店舗デザインを手がけたジラードだが、その経験とセンスを存分に盛り込んだショップが、1961年にニューヨークの53番街にオープンした〈テキスタイルズ&オブジェクツ〉だ。ジラードがデザインした〈ハーマンミラー〉のファブリックを主軸に、彼がデザインしたクッションや鏡、枕、さらにはジラードが収集した世界各国のフォークアートも販売。布の見せ方や商品の陳列の仕方、照明、グラフィックデザイン等細部までこだわった。