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チャールズ&レイ・イームズのデザインを知るための6つのキーワード

90年代日本でのミッドセンチュリーブームの中心となったイームズのプロダクト。彼らのデザインを知るための6つのキーワードからは、クリエイティブの学びが多く見つかる。

illustration: Takashi Koshii / text: Hisashi Ikai

チャールズ&レイ・イームズのデザインを知るための6つのキーワード

MASS PRODUCTION

MASS PRODUCTION

「ベストな品質のものを、より多くの人に」が口癖だったイームズたち。1950年よりプラスチックやグラスファイバーなどを用いたデザイン開発を行い、「イームズプラスチックチェア」をはじめ、手頃で使い勝手の良い椅子の大量生産に成功。また、脚部の素材や形の種類を豊富に揃え組み替え可能にしたり、スタッキングなどの機能を追加し、好みやスタイルに応じて、多様にアレンジできるようにしたことで、幅広いファン層を獲得した。

EXECUTIVE

EXECUTIVE

大衆向けのデザインに軸足を置いていたイームズたちだが、意外な展開を見せたのが「アルミナムチェア」のシリーズだ。1958年、彼らは屋外向けの家具開発のために、素材に軽量で錆びにくいアルミニウムを用いたデザインを発表。サスペンションと柔軟なサポート力による快適な座り心地、さらに上質でエレガントなフォルムが人気となり、「ラウンジチェア&オットマン」とともに高級家具の仲間入りを果たしている。

PLAYFUL

PLAYFUL

年代にかかわらず多くの人々の想像力を掻き立てるアイテムの開発にも取り組んだ。54枚のカード2組で構成される「ハウス・オブ・カーズ」はその代表格で、側面に入った切り込みを組み合わせながら自由な空間の感覚を学ぶシリーズだ。また、アイアンフレームの先に多彩なボールを取り付けたハンガー「ハング・イット・オール」
は、当初子供向けにデザインされたが、見た目の楽しさと機能性から、現在では幅広い空間で使用されている。

PLYWOOD

PLYWOOD

1941年、戦争で負傷した軍人のための足の添え木の発注を受けたイームズたちは、成形合板を用いた「レッグ・スプリント」を開発。その後、複雑な3次元曲面を実現し、量産にも対応する成形合板の可能性を家具で展開すべく、ラウンジチェア「DSW」「LCW」や子供用の「プライウッドエレファント」などを手がける。1946年からは〈ハーマンミラー〉から「フォールディングスクリーン」をはじめ、次々にプライウッド製品を発表していく。

GEOMETRIC

GEOMETRIC

イームズたちというと有機的な曲線のイメージがあるが、直線が際立つ幾何学的なデザインもキャリア初期から手がけている。1949年にデトロイト美術館で発表、翌年には〈ハーマンミラー〉が販売を開始した「イームズストレージユニット」は、発売から半世紀以上続くロングセラー。機能的ながら、置いただけで空間が彩られるよう、バランスを細かく計算。バーチベニヤを用いたカラフルな背板も後に追加、遊び心のあるデザインに発展した。

ORGANIC

ORGANIC

実用性を目指しながらも、フォルムの美しさにこだわり抜いたイームズたち。凹凸が滑らかに連続する複雑な有機的曲面には何度も挑戦。1943年成形合板の彫刻作品「プライウッド・スカルプチュア」を、そして48年MoMAの「低コスト家具デザイン家具コンペ」で、彫刻家、ガストン・ラシェーズの作品から発想した「ラ・シェーズ」を発表し、89年に製品化に成功している。ユニークな形の「ウォルナットスツール」は60年の作品だ。