タカとユージのあぶないデートカー
クルマがないと女の子をデートに誘えなかったバブル時代、日産・シルビア、ホンダ・プレリュードといった2ドアクーペの「デートカー」が人気で、中でもいちばん高級感があり、「助手席に乗りたい!」と女性たちの支持が厚かったのがトヨタ・ソアラだった。
しかしなにゆえこのタイプが「デートカー」だったのか。運転席と助手席をリクライニングすれば結構フラットになるからだ。プレリュードなんて運転席から助手席を倒せる。今だと炎上案件だ。
ソアラよりも前に発売されつつ、先を越されていた2ドアクーペがあった。日産・レパードである。が、日産がスポンサードする刑事ドラマ『あぶない刑事』が1986年に始まり、2代目レパードを投入。ドラマの人気とともにレパード人気も高まり、ソアラとともにバブル期を象徴するツートップに。
舘ひろし演じるタカと柴田恭兵演じるユージの刑事(デカ)コンビが活躍する『あぶ刑事』。レパードの覆面パトカー「港303号」は初回から登場。ボディカラーはゴールドとシルバーのツートン(第2シリーズからは後期型の紺色に)。運転はもっぱらユージ。タカはハーレーにまたがり、ショットガンを撃つのがお決まりだった(「免許がない!」わけじゃない)。そして、タカは助手席に乗る際、シートは倒し気味でほぼ沈んでいるが、それはデートの際のシートポジション。ボーイズラブ好きだったワタシは「タカとユージは張り込みではなくデートをしている」と友達によく力説していた。
日活ニューアクションの長谷部安春や松田優作と和製ハードボイルドを作った村川透らの演出回が多い第1シリーズがワタシは好きだ。中でも、クルマ好きの村川が演出した第27話「魔性」。勝俣州和演じるサイコなストーカーのソアラとユージたちのレパードでカーチェイスを繰り広げたのは語り草だ。
「港303」は最新作『帰ってきたあぶない刑事』のクライマックスでも登場。日産、まだ持ってるんだ!と思いきや、レパードマニアからの借り物だったそうだ。そして、古希を超えたタカ&ユージのもとに孫のような年の土屋太鳳演じるヒロインが仲間に加わるが、彼女が「おじさんたちは愛し合ってるの?」と聞いたのには笑った。