「名車探偵」映画・ドラマに出てくるクルマの話:スーパーZ

車好きライター、辛島いづみによる名車案内の第36回。前回の「いすゞ・ベレット1600GT」も読む。

text & illustration: Izumi Karashima

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ガルウィングを開けてショットガンを撃つ団長

全話を通して壊した車両4,680台、封鎖した道路40,500ヵ所、使用した火薬4.8トン、警察に提出した始末書45枚。

昭和の時代、刑事ドラマといえばド派手なカーアクションがお約束。中でも、石原裕次郎率いる石原プロモーション(とテレビ朝日)制作による『西部警察』シリーズ(1979~84年。PARTⅠ~Ⅲで全238話)は突き抜けていた。

カーチェイスの末にクラッシュして爆発炎上するのは当たり前、銀座や東京駅前、国会議事堂前といった東京のド真ん中で戦車を走らせたり、芝浦の運河をフェアレディZが飛び越えたり。

今の時代じゃ考えられない“不適切”シーンの連続だが、スーパーカー好きの子供だったワタシは、派手なアクションを決めるクルマたちのカッコよさに心を躍らせていた。

渡哲也演じる団長こと大門圭介を中心とする刑事チーム「大門軍団」には、舘ひろし演じるタツ(PARTⅠ序盤で殉職。後半に軍団入りしたアメリカ帰りの刑事・ハトを同じ舘が演じる。別人設定だがクラスの同級生は「タツが転生した」と言い張っていた)、寺尾聰演じるリキ(PART Ⅰ終盤、「ルビーの指環」大ヒット後に殉職)といった熱血刑事たちや、石原裕次郎演じる木暮課長といった濃ゆい漢たちがいるが、彼らと同じぐらい軍団のクルマも濃ゆかった。

スカイラインGTがベースの「マシンX」(PARTⅢで悪者に盗まれ爆破され“殉職”)、同じくスカイラインRSがベースの「マシンRS」(PARTⅡから登場)、特別機動車の「サファリ4WD」(一番のウリは高圧放水銃)、木暮課長専用のガゼールオープン(ポンティアック・ファイヤーバードな雰囲気)、そして、フェアレディZをベースとした団長専用カー「スーパーZ」。

スーパーZはPARTⅡの途中から「相当キレる新人」として登場。ボディカラーは市販車にはないゴールドとブラックのツートーンで、大門がショットガンを撃ちやすいようガルウィングに改造してあるのがよかった。とにかく、日産がスポンサーだったのはあるが、クルマが刑事と同じぐらいキャラ立ちをしている日本では珍しいタイプのドラマだった。

もし令和の時代に大門がいたら、どんなクルマに乗るんだろう。テスラのモデルXかな。

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