カウンターカルチャーの象徴としてのバギーカー
お、デューンバギーに乗ってるじゃん!
夜中にYouTubeをザッピングしていたら東映シアターオンラインで配信中の『フラワーアクション009ノ1』(1969年)なるドラマに目が留まった。5人のガールズスパイが活躍する石ノ森章太郎の漫画『009ノ1』を実写化したもので、金井克子、由美かおる、奈美悦子ら当時人気を博していた西野バレエ団のダンスグループ〈レ・ガールズ〉が主演のお色気アクションドラマである。引田天功(もちろん初代)がガールズたちに指令を出すボス役として登場するのは、『スパイ大作戦』を彷彿させるものの、70年代に流行った『チャーリーズ・エンジェル』よりは時代が先だ。
ドラマの中身は、モンドでキッチュでツッコミどころが満載の昭和のドラマなのだが、ワタシが目を見張ったのは、ゼロゼロガールズたちが乗る真っ赤なクルマ。スティーヴ・マックイーンの映画『華麗なる賭け』(68年)にも登場するバギーカー、メイヤーズ・マンクスなのであ……ん?いやいやいや、ちょっと待て。ハンドルも右だし、ディテールをよく見れば、うーん、ちょっと、いや、全然違う。第一、エンジンがリアではなくフロントにある。
マンクスは、カリフォルニア出身のブルース・メイヤーズが64年に発表したバギーカー。カリフォルニアのビーチを走るため、フォルクスワーゲン・ビートルをベースに造ったのだが、これが当時の若者たちのココロに刺さり、60年代末には空前のバギーブームが起こったのである。
というのも、当時、アメリカ西海岸ではフォルクスワーゲン・ビートルはカウンターカルチャーの象徴。高級志向へのアンチテーゼ、反権力の象徴として大衆車ビートルに乗り、ボディをわざとサビさせたり、ペイントをしたり、さまざまなカスタムを施すのが「気分」だった。そこに、屋根もドアも省いたメイヤーズ・マンクスが登場。若者たちはすぐに虜になり、そのムーブメントは日本にも伝播、ダイハツのフェローバギィやバモスホンダなどが造られることになるのだ。
ということは、ゼロゼロガールズの“フラワーアクション”とバギーカー、確かに相性がいい。でも、このバギーのベース、一体どのクルマなんだろう。