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古めかしくて新しい。カオスでシュールな世界を生み出す、映像クリエイター・マルルーン

アプリやゲームで遊ぶように制作を始め、出来上がったばかりの新作をSNSにアップする日々。どこからともなく火がついて、大きな仕事に繋がることだってある。場所や道具、慣習やルールにとらわれない動きで、想像を超える“次の次”を生み出す映像クリエイター・マルルーンに突撃!アンダー25、Z世代の表現者の現在地と、未来のビジョンを見る。

photo: Riku Ikeya / text: Emi Fukushima

古めかしくて新しい
カオスでシュールな映像世界

実写とCGを組み合わせたカラフルでシュールな映像を生み出すマルルーンさん。彼が脚光を浴びたきっかけは、高校の課題で制作した「モーション」という作品をSNSに投稿したことだった。「意識したのは、短尺で中毒性があって面白いもの。まずは観てもらうことが第一なので、SNSで“バズりたい”という多少の下心はありました(笑)」

とはいえ仕事に繋がるとは思っていなかったそうだが、今や、ゆずをはじめ名だたるアーティストのMVを手がけるまでに。最大の武器は、80〜90年代の映像を思わせるエッセンスとCGが繰り出す中毒性のある動き。「あえて情報過多になるように作っている」という彼は、どんなものからインスピレーションを得ているのだろうか。

ゆず「イマサラ」のMV。“インドっぽくしてほしい”とのオーダーを形に。ゆずの新境地とも言える実験的な作品に仕上がっている。
Kabanagu+諭吉佳作/men「すなばピクニック」のMV。動物のモチーフを多用するマルルーンさん。本作では猫が印象的に使われている。

「古めかしさが面白いと言っていただくことも多いですが、昔の映像ってほとんど観てきていなくて。自分と同時代のものからの影響の方が大きいんです。日頃からSNSを見漁(あさ)っていて、映像だけでなく気になる表現やアイデアがあればすぐに保存して“リファレンスフォルダ”に溜め込んでいます。最近だとK-POPのMVのディテールが気になって、よく観ていますね」

着実にキャリアを前に進める彼だが、現在も美術系の大学に通う大学生。学校で学ぶ時間を何より大切にしている。「映像の知識や理論を授業で学んでから、感覚頼りではなく考えながら作れるようになった気がしています。型破りなことをするにも、型を知っていなければ始まらないはず。学ぶことをやめちゃいけないなと思っています」

マルルーンの次を生み出す仕事術

  1. SNSの拡散力を最大限に活用する。
  2. 情報量の多さで、独自性を形作る。
  3. アイデアの種は“リファレンスフォルダ”へ。
  4. 仕事だけでなく、学生生活を大切にする。
  5. 現状に甘んじず、謙虚に学び続ける。