龍一の名前を初めて耳にしたのは、わたしが自分で音楽をつくり始めた頃だった
わたしの人生に多大な影響を与えたデヴィッド・ボウイとの仕事は知っていて、龍一の音楽を掘り下げたのはそのあとのことだった。彼のクリエイティビティと人生哲学に深く感銘を受けた。
「Rain」のミュージックビデオを制作していたとき、監督役の役者として龍一と共演する機会に恵まれたのだけれど、皮肉なことに、彼は偉大なミュージシャンであると同時に演技の才能も兼ね備えていた。
撮影スタジオに入ってきたときの彼の存在感と言ったらなかった。
その静かな迫力と気高さ。
わたしはこの文化的巨人に尊敬と称賛の念を抱いている。
人生のなかで真のルネサンス的教養人と協働できることはめったにない。
龍一のことをわたしは決して忘れないだろう。