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今、アーティストたちはどんな愛を歌うのか。2025年にリリースされた新しいラブソング50

愛の在り方や種類は日々変化し、今日も明日もこれからも、ラブソングは生まれ続ける。2025年──今、アーティストたちはどんな愛を歌うのか。

本記事は、BRUTUS「特集 ラブソング」(2025年10月15日発売)から特別公開中。詳しくはこちら

text: Shinji Hyogo, Keita Ito, Sakura Kashima, BRUTUS / cooperation: Ryohei Matsunaga

「然らば」マカロニえんぴつ
うまくいかない恋をこんなふうに言葉とメロディにできるのははっとりだけだし、それをこんな突拍子もないバンドサウンドで彩れるのはマカロニえんぴつだけ。

「Blue Train」雪国
今年フジロックに初出演した2003年生まれの3人組ロックバンド。繊細なギターサウンドとハイトーンボイスが描くのは、詩的で静謐な2人だけの世界。

「ありがとう」OKAMOTO'S
デビュー16年のベテランが、10代の頃に思いを馳せつつ、恋もそれ以外も含めての「ありがとう」を届ける。どうしても今これを歌いたかったことが窺える。

「素敵な二人」水泳
2023年結成、東京インディーズシーンの名プレーヤーが集まった4人組バンド。ローファイなロックンロールに乗せてポップにパンクに、恋する2人を歌う。

「Send To You」luv
「サウナ」をネタにする人は最近いるが、「銭湯」をモチーフにしてラブソングを書いたのは、へたしたら「神田川」以来では?というインパクトに満ちた曲。

「この世界に二人だけ」ano
本人が作詞・作曲でリーガルリリーが編曲。優しい未来や相互理解の愛もなくても、そこにあった2人だけの瞬間は愛と思えるような、感傷ではなく生傷の歌。

「春の涙」フー・ドゥ・ユー・ラブ
村上貴一(ex.キイチビール&ザ・ホーリーティッツ)と本日休演の岩出拓十郎の2人のソングライターによる3人組バンド。春と恋を涙でつないだラブソング。

「selfish!」水平線
京都を拠点に活動するツインボーカルの4人組バンド。軽快なモータウンビートで、メロディが転調するごとに景色が変わっていくような描写的な歌詞も印象的。

「悪魔さん」中川昌利
今年初のフルアルバムをリリースしたシンガーソングライター。ウェットなJ‒POPの系譜を受け継いだ、キラキラした音像のストレートなラブソング。

「ポイント・ネモ」揺れるは幽霊
2024年岡山で結成。ノスタルジックでシューゲイズなギターサウンドと、甘酸っぱさとは程遠い愛の爪痕を想起させる歌詞のコントラストが美しい。

「恋愛後遺症」7co
失恋のどこにもぶつけようのないやるせなさを文字通り“後遺症”と形容。一見ストレートに思えるが実は巧みな言葉選びで構成されたリリックのセンスは秀逸。

「世界中の誰よりも」ゴリラ祭ーズ
滋賀発のスリーピースバンドの配信シングル。日常のすれ違いやささやかな愛を歌った温かいラブソング。ホーンも加わり、ハスキーなボーカルが染みる。

「ミツコとカンジ」サザンオールスターズ
3月リリースの16枚目のアルバム『THANK YOU SO MUCH』収録。あの伝説のプロレスラーをモチーフに愛と別れを綴った、今のサザンにしか作れないラブソング。

「さいなら」眞名子 新
カントリーミュージックを更新する独自のスタイルのシンガーソングライターの1stアルバムより。愚直に人と向き合う真っすぐな歌詞を早口でたたみかける。

「親子星」SEEDA
13年ぶりのアルバムのタイトルトラック。息子に向けた愛の歌。生活がつらい時期の自らの苦労と家族への思い、子供への実直なメッセージが胸を打つ。

「柄」坂野 亘
2022年に活動を開始したシンガーソングライターの2ndシングル。人間関係を真摯に見つめる内省的な歌詞とフォーキーなサウンドで、親密な雰囲気が胸に残る。

「恋風」幾田りら
YOASOBIの幾田りらのソロプロジェクト楽曲。人気恋愛リアリティショーの挿入歌としても話題に。今恋をしているすべての人のBGMになり得るピュアな一曲。

「ひび」Tele
12月には幕張メッセ公演も予定しているTeleの2ndアルバムに収録。わたしとあなたの生活の跡をなぞり、優しく「ひび」に寄り添う愛の賛歌。

「愛着」My Hair is Bad
今の若いバンド、ラブソングだらけ、という現象を作った始祖。「僕と君以外の誰か」が存在するラブソングのトップ=椎木知仁の、現時点での到達点がこの曲。

「シネマ」aiko
「ラブソングの女王」が今年4月にリリースした曲。この後に発表した2曲は主観で描かれているが、「シネマ」は「人生」や「真実」も込みのラブソング。

「ウワサのあの子」紫今
2024年デビューの女性シンガーによる、メロディライン軽め、歌詞重め好き界隈刺しまくりのラブソング。5オクターブの音域を持つ歌声も鈍器のような彼女の武器。

「Remedy」REJAY
JQ(Nulbarich)がプロデュースのシンガーがデジタルシングルでリリース。愛情と憂鬱で揺らぐような歌詞と、ローファイなサウンドが淡く心地よい。

「Today -胸いっぱいの愛を-」宮本浩次
自身の長いキャリアの中で、今が最も人気がある驚異の59歳。ドラマ主題歌として書き下ろした、「これぞ宮本」な、スケールの大きなラブソング。

「恋に忙しくて」YOSSY LITTLE NOISE WEAVER
ロック漫筆家・安田謙一が作詞した幻の名曲を、YOSSY(キーボード、ボーカル)とicchie(トランペット、トロンボーン)のユニットが40年の時を経て発表。

「KESHI♡GOMU♡MAGIC」MAPA
大森靖子プロデュースのアイドルグループ。写真の加工を指す言葉「消しゴムマジック」で、あなたの視界から私以外のモノを消して!というピュアな気持ちを描く。

「君に聞きたいひとつのこと」SHISHAMO
2026年6月のライブで活動終了するSHISHAMO。小説のようにラブソングを書く宮崎朝子の最新作は、名前も知らないけど好きになったという切り口。

「インソムニアの底で」grating hunny
平均年齢18歳の4人による、大人が狙って書くことは不可能な、切実でリアルなラブソング。ただし、若けりゃ書けるのかというと、もちろんそんなわけはない。

「ハートな胸の内♡」超ときめき♡宣伝部
清竜人が作詞・作曲・編曲を務めたシングル曲。アップテンポにメロディは切なく、未来はわからなくても今この瞬間の「ときめき」を信じる恋心を描く。

「お元気で」檸 檬
愛知で結成、2022年に1st EP『檸檬の庭』をリリースした2人組ユニット。女性2人のユニゾンのボーカルがクセになるアコースティックなインディーポップ。

「hikari」KID FRESINO
7月にリリースされたバンド編成による新曲。アレンジにはSTUTSが参加。今年4月に急逝したラッパーJJJへの思いを吐露した、深い友情によって生まれた一曲。

「Blue Jeans」HANA
ちゃんみなプロデュースのガールズグループの2ndシングル。圧倒的な歌唱力で強さを表現してきた実力派の7人が、今作、繊細で甘酸っぱい恋心を歌う。

「巡ループ」Perfume
2026年からのコールドスリープ前に届いたこの曲は、不安な未来を希望に変えてくれた彼女たちと、そこを居場所に歩んだすべての者たちの軌跡と願いをつなぐ歌。

「愛 Eye Catch」クマリデパート
新体制となって初のシングル。作詞と作曲はプロデューサーのサクライケンタと玉屋2060%(Wienners)。「Eye」と「愛」をかけた決めフレーズがキャッチーだ。

「ざらめき」クリープハイプ
倦怠感や徒労感やむなしさをふんだんに表しながら、終わった恋を歌うラブソング。この「ちっともキラキラしていなさ」が素晴らしい。さすが尾崎世界観。

「日向」ゆうやけしはす&すうらばあず
バンドすばらしかのメンバーとしても活動していたシンガーソングライターとバックバンド。ポップス史上最長(?)なロングトーンで「君が好き」と切実に歌う。

「赤いワインに涙が・・・」ブランデー戦記
70年代を思わせるサウンドと、その上を漂う女性ボーカルのアンニュイな歌声が、詩的な歌詞とともに響く。まるで映画のような恋ドラマが広がっていく一曲。

「Glass Heart」TENBLANK
Netflixシリーズ『グラスハート』の物語のカギとなる一曲。楽曲を手がけた野田洋次郎らしい旋律と疾走感が作中歌の域を超え聴く人をたぎらせる。ドラマも必見。

「夏の保存」江本祐介
Enjoy Music Clubのメンバーの今年2月の1stソロアルバムに続くシングル。夏休みの短さと永遠のきらめきを「倍速視聴で焼き付けても」の一行で言い当てる。

「Kiss Kiss Kiss」AKASAKI
昨年SNSで火がついたシンガーソングライターの15thシングルは、スイングする気持ちをストレートな言葉で表現した、ジャジーで疾走感のあるラブソング。

「Level up」muque
このバンドに関しては、サウンドの新しさ、メロディの心地よさに耳を奪われがちだが、リリックにも「こんな角度からラブソングを書く⁉」という驚きがある。

「きょうみがねぇ」gnkosaiBAND with 井上園子
ボーダレスなサウンドで活動するバンドが、近年注目を集めるシンガーソングライターを迎えて人気曲を再録。強い語調の歌詞が日本語フォークの現在地を示す。

「ラブレター feat. 川辺素」やまもとはると
2000年生まれのシンガーソングライターが、ミツメの川辺素を迎えた一曲。スピッツを連想するメロディアスなポップロックで、シンプルな言葉を連ねる。

「OCEAN」LEX
23歳のラッパーが夏にリリースした最新曲。レイドバックしたビートに乗せて「誰より良いジェントルマンになる」とたしかな愛の決意を歌う。

「say my name」Rol3ert
フジロックのパフォーマンスも話題になったアメリカ出身シンガーソングライターの5thシングル。シンプルかつ壮大なサウンドで愛と永遠を丁寧に歌い上げる。

「Venus」YURIYAN RETRIEVER
ゆりやんレトリィバァが新しい学校のリーダーズなどを手がけるyonkeyと共同で詞を制作、アンチをも包み込みルッキズムを一蹴する新時代のセルフラブソング。

「ラブソングに襲われる」=LOVE
佐々木舞香がセンターを務める19枚目のシングル。愛しい人を追いかける、焦る恋心を「ラブソングに襲われる」というフレーズで表現した。

「After that…」mei ehara
海外へと活動の幅を広げるシンガーソングライターの3rdアルバムより。日常の隙間にある感情をすくい上げるような言葉をグルーヴィなサウンドで静かに届ける。

「稀代のホリデイメーカー」生活の設計
2023年にデビューアルバムを発表した東京の2人組バンド。2ndアルバムのリード曲は、疾走感溢れるバンドサウンドと甘いメロディの爽やかなラブソング。

「傷ついちゃえばいいのに」Fish and Lips
19歳のボーカルが爽やかな声で歌い上げるのは終わった恋への未練。失恋の痛みをうまく呑み込めないまま、心が暴れるあの瞬間。リアルな感情が生々しく響く一曲。

「笑ったり転んだり」ハンバート ハンバート
2025年度後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』主題歌。小泉八雲とその妻の物語に寄り添うのは、夫婦デュオのハーモニーとフォーキーで心温まるサウンド。

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No.1041「特集 ラブソング」ポップアップバナー