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摩訶不思議な出来事が愛の原因や結果に。「愛って奇跡」な映画20選

映画の中ではしばしば摩訶不思議な出来事が起こる。これを奇跡と呼ぼう。奇跡は愛の原因になることもあれば、結果になることもあるようだ。男女が時空を超えて恋に落ちることもあれば、変わらぬ思いが離れ離れになった者たちを再会させることもあるのだから。

illustration: Yoshimi Hatori / text: Keisuke Kagiwada

『天国は待ってくれる』

夫婦愛/人情

閻魔大王が恋多き男に、天国行きを許したわけ

「自分は地獄行きだ」。死後、閻魔大王の前でそう宣言するヘンリーは、生前の華麗なる恋愛遍歴を語る。しかし、聞き終えた閻魔大王がヘンリーに天国行きを許すのは、彼を愛した多くの人が待っていると悟ったから。愛は死後の行く末さえ変える力があるらしい。

『モーガンズ・クリークの奇跡』

夫婦愛/人情

抱腹絶倒の出来事が、一途な男の罪を帳消しに

トゥルーディは酔った勢いで見知らぬ兵隊と結婚したうえに妊娠する。彼女に一途なナーバンは、彼女のために犯罪に手を染め、生まれくる子供の父になろうと奮闘するが……。結局、牢屋に入った彼が罪を赦(ゆる)される時に起こる愛の奇跡には、抱腹絶倒するしかない。

『イタリア旅行』

恋愛/夫婦愛

倦怠期の夫婦の奥底に眠る愛を呼び覚ましたものとは?

ナポリを訪れたアレクサンダーとキャサリンの夫婦は、倦怠期を迎えていた。離婚話すらしていた2人はしかし、祭りの群衆に呑み込まれ、引き離されると、急転直下、心の奥底に眠っていた愛を呼び覚まされ、和解を誓う。何が起こったのか?おそらく奇跡である。

『たそがれの女心』

恋愛/夫婦愛

夫婦の冷めた関係の象徴が、愛を再認識させる

将軍の夫からもらった耳飾りを妻の貴婦人は売る。それは将軍、将軍の情婦、貴婦人に恋する大使を巡り、また貴婦人の手元に戻ってくる。このようなミラクルを経て、冷めた関係の象徴だった耳飾りは、貴婦人への愛を将軍に再確認させる尊いものへと変わるのだった。

『驟雨』

夫婦愛

謎の紙風船ラリーは、喧嘩の延長から愛の共同作業へ

結婚丸4年を迎える亮太郎と文子は、喧嘩の絶えない日々を送っていた。ラスト、2人はどこからか飛んできた謎の紙風船をラリーする。最初こそ怒りをぶつけ合っていたそのラリーは、いつしか共同作業へ。何が愛を確かめ合うきっかけになるかはわからないものだ。

『草の上の昼食』

恋愛

恋愛否定論者を改心させるのは、猛烈すぎる突風⁉

人工授精で優良な遺伝子だけを残そうと考える、恋愛否定論者のアレクシ博士。しかし、その考えは、彼と女伯爵の打算的な結婚発表会の日に突如として吹き荒れた、猛烈すぎる突風によってかき消される。実際、彼は別の女に純粋な恋心を抱くようになるのだから。

『処女の泉』

親子愛

復讐を達成させた父をめぐる、不思議体験の意味

愛する娘を凌辱された末に殺された父は、犯人たちに復讐を遂げる。信仰心が強く、娘の死に場所に教会を建てて罪を贖(あがな)うことを宣言する父。するとどうだろう、なぜか泉が湧いてくる。それは父の愛への娘からの返答かもしれないし、神の赦(ゆる)しの証拠かもしれない。

『ミニー&モスコウィッツ』

恋愛

最悪の出会いを果たした男女がなぜ結婚するのか?

ミニーとモスコウィッツは最悪の出会いを果たすが、まるで意見が食い違っていたのに次の瞬間には結婚を決意し、反対していた両親も次の瞬間には笑顔で結婚式に参列している。なぜかはわからない。恋愛とは「なぜ?」という問いを超越した不思議な出来事なのかも。

『ベルリン 天使の詩』

恋愛/友情

恋に落ちた者が見る世界は、色彩を帯びるのだ

ベルリンで暮らす人々の営みを見守ってきた天使のダミエルは、ある女性に恋をしたことで、永遠の命を捨てて人間になることを決意。人間になった瞬間、白黒にしか見えなかった景色が色彩を帯びる。恋することの幸福感をこれほどロマンティックに活写した映画もそうない。

『マネキン』

恋愛

“オタクの妄想”を具現化。美しきマネキンが命を宿す

美しいマネキンが夜になると動きだし、制作者である青年とデートをしてくれる。しかも、古代エジプトから転生を重ね、愛する者を探し求めていると語るマネキンは、最後には人間になりキスをしてくれる。“オタクの妄想”を具現化したストーリーが微笑ましい一作。

『冬物語』

恋愛

変わらぬ思いを確信した時、“愛の偶然”が起こる

ある間違いで、バカンス先で恋に落ちたシャルルと再会できなくなるフェリシー。5年後、彼女は2人の別の男の間を行き来しているが、シャルルへの愛を信じると決心したその時、奇跡が起こる。ロメール監督がこだわり続けた“愛の偶然”が、結晶化したようなロマンス。

『ゴダールの決別』

夫婦

夫に乗り移った神が、人妻に愛の試練を与える

レマン湖畔で夫と暮らすラシェルは牧師に相談する。「数日前、自分が体を重ねた夫は、神に乗り移られていたような気がする」。果たして実際はどうだったのだろうか。ゴダールならではの晦渋(かいじゅう)さと軽妙さのハイブリッドで描かれるのは、そんな彼女をめぐる愛の試練だ。

『恋はデジャ・ブ』

恋愛

同じ一日を繰り返すことになった男が、恋を知る時

とある村へ取材にやってきた気象予報士の男は、そこで同じ一日を繰り返すハメに。プロデューサーを遊び半分で口説こうと画策するが、どうもうまくいかない。愛を知らない彼に新しい朝が訪れるのは、プロデューサーに本当に恋をし、「明日より今が大事」と知った瞬間だ。

『あなたに降る夢』

恋愛/人情

奇跡によって結ばれた関係が、さらなる奇跡を起こす

ダイナーでチップが足りなかった警官は、従業員の女性に「宝くじが当たったら半分あげる」と誓う。当籤(とうせん)した彼は、宣言通りに行動し、彼女と恋に落ちるが、互いに結婚しているため事は簡単に運ばない。そんな奇跡によって結ばれた関係が、さらなる奇跡を起こす。

『ニューヨークの恋人』

恋愛

現代にタイムスリップしてきた、白馬に乗った王子様

現代のニューヨークで暮らすキャリアウーマンが、19世紀からタイムスリップしてきた英国公爵と恋に落ちる。「いつか白馬に乗った王子様がやってくる」。現在においては夢でしかないそんなおとぎ話と真剣に向き合うことで生まれた、純度100%のラブコメディ。

『ラッキー・ガール』

恋愛

誰かと幸運を分かち合えた時、恋が幕を開ける

人並み外れた強運の持ち主アシュレーの人生は、不運な男との1度のキスを境に悪化。男に運気が移ったらしい。そんな2人が再び出会い、ラストでは何度も唇を重ねる。もはやどちらに運気があるのかわからない。誰かと幸運を分かち合いたいと感じた時、恋は始まるのだ。

『ヒア アフター』

家族愛

亡くなった兄は、それでもなお弟の未来を思いやる

事故で双子の兄を失った少年マーカスは、霊能力者の霊視により兄と再会。マーカスが自分との思い出の中に生きていることを案じる兄は、マーカスに前を向かせるべく声をかける。「一卵性双生児は2人で1人だ」。死んでもなお弟を思いやる言葉に、愛がほとばしる。

『アバウト・タイム 愛おしい時間について』

恋愛

やり直さない人生を選んだ時、証明される愛

過去にタイムスリップできるティムは、人生のあらゆる局面をやり直しながら生きてきた。しかし、かつて憧れた女から部屋に誘われた時だけは、タイムスリップを使わず1度目で断る。今は大切な恋人がいるからだ。奇跡の能力に頼らない時にこそ彼の愛は証明される。

『LION ライオン 25年目のただいま』

家族愛

Google Earthが離れ離れになった家族を再会へ導く

愛する家族とはぐれた5歳のインド人サルーは、養子としてオーストラリアの里親の下で育つ。二十数年後、かすかな記憶を頼りにGoogle Earthで生まれ故郷を捜索する彼は、見覚えのある給水塔を発見。現代において奇跡をもたらすのは、最先端の技術なのかもしれない。

『散歩する侵略者』

夫婦愛

愛の概念を失った女は再び愛を知ることができるのか?

人間から“概念”を奪い、地球侵略を企む宇宙人に体を乗っ取られた鳴海の夫。この宇宙人が鳴海から奪うのは愛の“概念”だ。奪われた人間は、その“概念”を忘れてしまうという。愛を忘れた人間はどうなるのか?そして、そんな人間が再び愛を知る奇跡は起きるのか?