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ローメン、バリそば、中華ちらしetc. 全国各地に眠るローカル中華8選

全国各地にはまだ広く知られていない、「その町の中華」が数多く眠っているようです。意外な食材の組み合わせ、驚きの誕生エピソード……、ジャンルとしての、町の中華の懐の深さには驚くばかりですが、いつかこれも全部食べに行きたい。北は北海道から南は九州まで、気になるものをリストにしました。


初出:BRUTUS No.833「町の中華」(2016年10月1日発売)

photo: Hiroki Tsuji (1), Yoshikazu Itamoto (2), Rie Muraoka (3), Tsutsumi Yano (4), Tomoko Nishizawa (5), Yuki Ochi (6), Daichi Yamaoka (7), Yoshiki Eto (8) / text: Mutsumi Hidaka (1,4〜8), Yoshikazu Itamoto (2), Rie Muraoka (3) / edit: Mutsumi Hidaka

帯広・北海道
中華ちらし

あじ福 東店の中華ちらし

中華なのに「ちらし」?しかも酢飯じゃないの?

全国的な知名度を持つ帯広名物「豚丼」と並ぶ人気を誇る。ふわふわ卵とモヤシ、白菜、バラ肉にエビ、イカなどが「ちらし寿司」のごとく彩りよく器に収まっているのが名前の由来だ。もともと〈あじ福〉の先代が勤め先で作ったまかないがルーツ。それが市内の中華料理店に広まり、今やポピュラーなご当地メシに。醤油と砂糖を使った甘じょっぱい味つけとゴマ油のほのかな香りが、白いご飯にマッチして食欲を一層そそる。

仙台・宮城県
仙台マーボー焼きそば

ピリッと辛くて香ばしい。まかない食が大ブレイク!

1970年代、仙台の中華料理店のまかないとして食べられていたマーボー焼きそば。そのおいしさが知られるようになったのは2013年のTV放送がきっかけだ。〈竹竹〉の麻婆豆腐は辛味と旨味の調和がポイントで、味噌、豆板醤(トウバンジャン)、すりつぶした山椒などを入れ、ちょっぴり寝かせる(熟成期間は秘密)。この麻婆豆腐を外カリカリ、中ふんわりに焼いた麺にたっぷりかけて完成。ボリュームがあり学生たちにも愛されるジモト飯だ。

伊那・長野県
ローメン

長野県民の誰に聞いても、説明しきれないカスタム麺

ローメンは伊那市近郊のご当地麺。それを昭和30(1955)年に初めて作ったのが〈萬里〉だ。この店での定義はキャベツ、羊肉、蒸し麺を使うこと。豚骨&鶏ガラベースのスープを一口すすると甘い!そこに登場するのが、各種卓上調味料。ウスターソースに酢、ゴマ油を加えるのが基本だが、ニンニクや一味唐辛子などでパンチを効かせるもよし。完成形は客の采配に委ねられる。それこそがローメンの味を語れない理由なのだ。

那須塩原・栃木県
スープ入焼きそば

誕生のきっかけは、出前のスープのこぼれ解消

「見た目ラーメン、食べるとソース焼きそば。スープをすするとまたラーメン」と店主。誕生は60年ほど前。ラップも真空蓋もない時代に焼きそばとスープの出前を受けた先代が、なんとかスープをこぼさずに届ける工夫はないものか悩んだ末、一緒にしてしまおうと考えついたのだという。キャベツと国産鶏モモ肉が具のピリッと辛いソース焼きそば+鶏がら醤油ベースのスープの組み合わせは予想を大きく超える旨さ。

名古屋・愛知県
台湾ラーメン

名古屋ローカルなのに、「台湾」とはコレいかに?

独特の味わい、料理のバリエーションの多彩さで他の地域を凌駕するご当地グルメの聖地・名古屋。中でも、その存在を全国に知られつつあるのがコレ。台湾出身のオーナーが故郷の担仔麺(タンツーメン)を激辛にアレンジ、まかないで食べていたのがルーツだ。鶏がらスープに唐辛子の効いたミンチとニラをトッピングした麺は、慣れていない初心者にはむせるほどスパイシーだが、やがてそれが快感に。辛さの奥に潜むコクや旨味の虜(とりこ)になる。

今治・愛媛県
焼豚玉子飯

自家製焼豚+半熟目玉焼き。このコンビは間違いない

かつて店主が修業先で食べたまかないメシが原型。温かいご飯の上に、市内で精肉店を営んでいた母直伝の焼豚を10切ればかり。さらに2個分の半熟目玉焼きをドンとのせる。レンゲでホロリとほぐれる焼豚に、トロリと濃厚な黄身を絡めて食べる幸せときたら!開業以来継ぎ足しながら焼豚を漬け込んできた甘辛くてコクのあるタレの旨味も相まって、どんぶり一杯分、かき込むように一気に平らげてしまう。

山口・山口県
バリそば

揚げたそばを食べる時の、バリバリ音が名前の由来⁉

こんがり揚げた中華麺にキャベツやネギ、かまぼこ、タケノコなど具だくさんのあんがたっぷり。あんは鶏がらベースでスープに近いほど緩め。食べ進むうちあんが麺に染み込んで食感が「バリバリ」から「ツルツル」に変わってくるのも面白い。具や味つけは店によって微妙に異なり、開業40年ほどになる本町の〈春来軒〉では、酢醤油で味つけしているので後口すっきり。ボリュームはあるのに女子でもペロリと平らげる。

別府・大分県
とり天

戦前から愛されて九十余年。もはや郷土料理の領域に

小中学校の人気給食メニューにして、お袋の味と化すほど地域に浸透しているとり天だが、実は昭和10(1935)年頃にここ〈レストラン東洋軒〉で台湾から招いたコックとともに考え出したもの。地元・大分や宮崎で育った鶏のモモ肉の皮をはいでそぎ切りにして、九州の甘口醤油やニンニク、ゴマ油で風味づけした衣にくぐらせ、カラリと揚げる。水ではなく全卵だけで溶いた衣はサクサク。揚げたてはもちろん、冷めても旨い。