生まれた時からずっと、猫がそばにいる環境で育ってきた小田さくらさん。コロナ禍で時間ができたことをきっかけに、家族と約1年間ミルクボランティアに参加した。
「うちに猫を譲ってくださった方から聞いて以来、ずっと興味があって。2~5匹の仔猫を1ヵ月ほど、ほぼ一日中つきっきりでお世話して、トイレと離乳食を覚えさせるんです。まず、家族でシフトを組んで3時間置きにミルクをあげて、体重を測って記録する。食事もトイレも、まだひとりでできないのでサポートする。あとは遊んで、寝かせて、またミルク。寝かしつけながら、疲れて私が眠ってしまうこともありました」
大切に思うからこそ、仔猫と過ごす楽しさだけでなく、命を預かることの厳しさも忘れてはいけないと小田さんは話す。期間中、どんなことを意識して猫と向き合っていたのか。
「預かった時、団体の方に“あとは仔猫たちに聞いてね”と言われたんです。いつもと違うと思ったら、ネットで調べるよりもよく観察すること。しっぽや目、耳の立ち方、毛の張り方など、違和感はだいたい当たりました。あとは人に愛される猫に育ってほしいから、母親になったつもりで接すること。粗相をしたら怒るし、逆の時は褒める。
同じ目線に立ってやりとりすると、気持ちが伝わる気がします。ふと思ったのは、私の家には昔から猫がいたし、こうやって観察してきたからこそ、自分も周りの変化を敏感に察する人間になったんだなと。猫が私の人生に与えた、大きな影響の一つです」
また預かりたい気持ちがある一方、その大変さゆえに、「気軽には勧められないけれど」とも話す。
「ミルクボランティアは生まれて間もない、本当に小さな仔猫を預かる仕事。成猫と触れ合うよりも、命の繊細さやシビアさに触れることになる。だから“自分はやらない”という選択も、間違っていないと思います。ただ、私は猫が大好きなので、人生を懸けて何かをしてあげたい。自分の環境が整ったタイミングで、また仔猫を育てたいですね」


撮影協力:保護猫ラウンジ〈猫と。。〉