福岡の音を楽しむ6軒。〈petrol blue〉マスター・こいでしんじが案内

選曲の良いカフェでランチを済ませ、レコード屋へ。歩き疲れたらジャズ喫茶でコーヒーを。早めにビールで乾杯し、音をつまみに音楽談議。ほろ酔い気分でリスニングバーへ。音楽が響く街で過ごす一日は最高だ。

Illustration: Yuka Kamogawa / Text: Wataru Sato

気取らず気さくな街
福岡で“音楽はしご酒”

ゲストへのおもてなし心に溢れ、飲み始めたら1軒では終われない」。そんな福岡の街で、音楽好きが選ぶ夜の終着点といえば大名のバー〈petrol blue〉。マスターのこいでしんじさんが、トリュフォーとチェット・ベイカー、BTSの7インチまでを一つの空間に調和させている。

「現行の音楽シーンをキャッチアップしている店が多い福岡。店主の個性は感じながらも押しつけがましくなく、居心地よくいられます」。そんな福岡らしさを感じる良店を、こいでさんに案内してもらった。

福岡エリア リスニングバー マップ

喜多八

「3代目店主の松枝徹さんは、ヴィンテージオーディオ好き。真空管ラジオ、壁に組み込まれたマッキントッシュのアンプ、日本酒セラーの上にはChet Baker Singsの稀少なオリジナル盤がさりげなく置いてあります」。

1951年創業の老舗焼き鳥屋だけあって、串は絶品。

珈琲 花坂

「グレン・グールドからヒップホップまで幅広い選曲。ブレンド“waltz”に〈メルシーベイク〉直伝のガトーショコラで、至福のひととき」。

音楽やアートに造詣が深い店主・花坂和英さんが、〈petrol blue〉の昼時間を間借りして営業。ネルドリップで丁寧に淹れるブレンドは2種。

CATFISH RECORDS

「新譜を中心に大手レーベルものから自主制作盤まで豊富に揃う、市内随一のジャズ専門店。店構えと物量に気おされるかもしれませんが、意外と入りやすいですよ」。

福岡にブルーノートがあった時代からオンタイムのジャズを精力的に紹介してきた店。少量だが中古盤もあり。

BAR Carmine

「Nick DrakeからCHAIまで、選曲は自由自在。アブサンファウンテンを使った水割りのアブサンは格別です」。

店主は、音楽活動のため上京し、帰福後もタワーレコードで10年働いた石井晃一さん。隠れ家的雰囲気で、カップルからレコードオタクまで通えるバー。

poupée de son

「店主の藤田知康さんは90年代に伝説のミュージックバー〈opium〉を経営し、福岡のカルチャーシーンを牽引してきた生き字引的存在。スタッフの愛ちゃん、看板猫のシャルルもキュートです」。

各国で買い付けた古着や小物を良心的な価格で提供するセレクトショップ。

Pusis

「食にもBGMにもこだわりを持つ松﨑夫妻の店。〈Pusis〉でいい音楽を教えてもらったと、よくお客さんから聞きます」。

朝が遅い福岡で、8時からワンプレートご飯と自然派ワインを楽しめる、稀少なカフェレストラン。40年続いた町の喫茶店を改装した落ち着く店内も魅力。