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フードスタイリスト・西㟢弥沙が通う、目利きの店。池尻大橋〈LICHT gallery〉

店の雰囲気、品揃え、店主やスタッフの人柄。思わず足を運んでしまう理由は人それぞれ。目利きたちに聞いた、“信頼できる店”とは。

photo: Jun Nakagawa / text: Emi Fukushima / edit: Chizuru Atsuta

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セレクター:西㟢弥沙(フードスタイリスト)

大切な買い物であればあるほど、知識とセンス、ものへの情熱を併せ持ったプロフェッショナルの下で選びたいもの。我が家の家具選びで頼りにしているのが、〈LICHT gallery〉の須摩光央(すま・みつお)さんです。知り合ったきっかけは、須摩さんが手がける北欧ヴィンテージ家具のショップ〈HIKE〉に仕事で伺ったことでした。

感性の鋭敏さは言うまでもありませんが、家具の知識を、ものを売るためでない純粋かつフラットな視点で話してくださるスタンスが心地よくて、何かと相談をしていますね。中でも〈LICHT gallery〉は須摩さんが2018年に立ち上げた家具店兼ギャラリー。販売される家具がアートのようにゆったりと展示される空間と、スタッフの皆さんの丁寧な接客が心地よく、たびたび訪れています。

池尻大橋〈LICHT gallery〉店内
空間に並ぶのは新旧、国籍を問わずセレクトされたユニークな家具やアート。青いオブジェは〈TAJIMI CUSTOM TILES〉のもの。

スタンドライトやチェアなど、いくつか買い物をしてきた中でも印象的だったのは、ヴィンテージのトランザットチェアを買ったときのこと。もともとデザイナーのアイリーン・グレイを敬愛していて、いつか欲しいなと夢見ていたのがこのチェアでした。
貴重なものなので、貯金をしつつ気長に探したいと須摩さんにお話ししたところ、電話一本で「あるよ」とお返事いただいて。そのときの頼もしさには衝撃を受けました。思いがけずすぐに大きな買い物をすることになりましたが(笑)、一生寄り添っていきたい家具を手にすることができました。

一方でユニークなのが、仮に私がもし家具を手放すことがあれば、アートギャラリーのように買い取りにも応えてくれること。家具との付き合いには多額のお金が関わります。でも気持ちが変わることもある。そんな人に寄り添い、住まうことへの新鮮な楽しさを提案してくれるところに共感しますね。末長く付き合っていきたいお店です。

池尻大橋〈LICHT gallery〉店内
アートギャラリーを彷彿させる白い壁を基調とした内装は、空間・プロダクトデザイナーの二俣公一率いる〈CASE-REAL〉が担当。国内のデザイナーやアーティストの企画展示も開催。

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