Learn

Learn

学ぶ

日本の若者に、「本物の西洋の絵」を。松方幸次郎のコレクションから始まった、国立西洋美術館

印象派の名作から人気の江戸絵画や国宝の茶碗まで。何度見ても心が満たされる名品の背景には、美術を愛し日本の文化向上を願った伝説の蒐集家(しゅうしゅうか)たちの思いがあった。その膨大なコレクションから始まった国立西洋美術館を紹介する。

本記事は、BRUTUS「通いたくなるミュージアム」(2024年1月10日発売)から特別公開中。詳しくはこちら

text&edit: Masae Wako

日本の若い画家たちに本物の西洋美術を見せたい

国立西洋美術館(東京/上野)

西洋美術を扱う国立美術館としては日本唯一。約6,000点を所蔵する西洋美術の殿堂は、明治の実業家・松方幸次郎のコレクションから始まった。

松方は20世紀初頭、ヨーロッパ各地でかの地の絵画や彫刻と出会い、約1万点にも及ぶ作品を蒐集。中には、当時まだ評価されていなかったゴッホやゴーガンの絵もあった。自分がそれらを買い集めることで、美術を志すも貧しくて留学もままならない日本の若者たちに、「本物の西洋の絵」を見せようとしたのである。

第二次世界大戦末期にパリで接収された作品もあったが、戦後、フランス政府から寄贈返還された約370点の松方コレクションを中心に、〈国立西洋美術館〉は開館。思いを今に伝える作品群は、ル・コルビュジエ設計の本館や、前川國男設計の新館で常設展示されている。

クロード・モネ《睡蓮》松方コレクション
クロード・モネ《睡蓮》松方コレクション。国立西洋美術館蔵。2月11日まで企画展示室で展示。
通いたくなるミュージアム バナー