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革靴をはじめる。まずは3万円の靴を3足買う

大人のたしなみをはじめる。味の違いがわかる。独特の作法を知る。こだわりの一品を持つ。大人の遊び方や、心得ておきたいマナーを知り、魅力ある大人をはじめたい。それぞれの道を熟知した方々が、とっておきのはじめ方を教えてくれた。

photo: Jun Nakagawa / text: Ryota Mukai

教えてくれた人:羽田野晶斗(シューケアマイスター)

3万円の靴を3足買う

革靴をきちんと手入れして、大切に履き続けることは大人のたしなみの一つ。その第一歩を踏み出すなら、値が張ったとしてもこれ!という一足に出会いたいもの。そのコツを教えてもらおうと羽田野晶斗さんのもとを訪れた。修理とケアの両面から革靴を知り尽くす人だ。

「高価な1足を選ぶのも楽しいけれど、着実にはじめたいと思うなら、そのお金で3足買うのがおすすめです。足は1日にコップ1杯分の汗をかくうえに屈曲も激しいから、靴は大きなダメージを受けています。一度履いたら2、3日は休ませる必要があるから、複数足持っておきたい。

とはいえ、何十万円もするものを揃えなくても大丈夫。3万円くらい出せば、長く使える、内側の作りがしっかりした革靴は十分手に入れられます」

靴の負担を考えると、できれば7足(!)持つのが理想的だという。せっかくだからいろんな種類を買っておきたい。

「フォーマルなストレートチップ、カジュアルな場でも履けるプレーントウ、あとは雨の日用の一足があるといいですね。サイズ感も考えてみましょう。ジャストサイズがおすすめですが、少し大きいサイズを買ってインソールを入れた方が使いやすいという人もいますよ」

自分がどちらのタイプか試してみるのも、複数足買うからこそできることだ。そして気になるのは日々のお手入れ。羽田野さんは1足に1セット「シューキーパー」を必ず買っておくべきだという。

「シューキーパーは服にとってのハンガーのようなもの。いいスーツをそこらへんに放っておいたりはしないですよね。革靴も同じ。履くたびに曲がるソールを補正してあげれば、長年付き合える一足になりますよ」

いいシューキーパーの選び方

ポイントは2つ。フィットするように踵部分が丸みを帯びていることと、力が均一に伝わるよう前と後ろをつなぐバネが1本ではなく2本になっていること。

木製 シューツリー
「靴を脱いだらまずは湿気を取ることが大事。乾燥剤を入れておくとよりいいですね。翌朝くらいまで乾かしたあとでシューキーパーをつけてください」