たまご焼きがスタンダードな京都のたまサン。ふんわり黄色いその姿は老若男女に愛されて、喫茶店、洋食店からバーまでオンメニュー。もはやソウルフードといってもいい存在で、嬉しくも悩ましいほどの顔ぶれ。初心者はまず老舗から。カテゴリーを知って攻めるのが上級者への第一歩なのだ。
【老舗】京都たまサン基準になる、必食の王道。
スマート珈琲店(京都市中京区)
昭和7(1932)年創業の老舗喫茶の名物は、ふわふわ感もとびきりのたまごサンド。たまご3個に塩で味つけ、強火でさっと焼き上げたら、バターとカラシを塗ったパンでサンド。シンプルさが生み出す、絶妙のバランスが見事。やけど注意なほど熱々で運ばれてくるのも嬉しい。
アマゾン(京都市東山区)
ローカルでは必ず名前が挙がるひそかな名店。4個使用するたまごは弱火で火を通すことでふんわりしつつもプリッとした食感。パンに塗るのは片方がマヨネーズ、片方はケチャップで、その組み合わせに懐かしさを感じる味に。
切通し進々堂(京都市東山区)
祇園町に創業して70年。芸舞妓さんからのリクエストでできたメニューも多い喫茶店。「たまご焼き、トーストに挟んだん作って」の一言から生まれた玉子トーストは、プリプリのたまご焼きとバターの風味がよく合う、花街の人気者。
【復活】思い出の味をもう一度、でノスタルジックに。
喫茶マドラグ(京都市中京区)
たまサン界で知名度ナンバーワン。大皿にのる迫力はもちろん、ふわっふわ感もダントツ。とはいえだしたっぷり、たまごは4個と想像より少なめで意外と軽やか。テイクアウトは2日前までに要予約。
グリル グリーン(京都市東山区)
木屋町で愛された喫茶〈グリーン〉が閉店、幻の味だったサンドが昨年復活したのは京都人にとっての朗報だ。牛乳などを使わずどこまでふっくら焼き上げるかが腕の見せどころというたまご焼きの、軽やかさを堪能したい。
【夜】飲んだ後の〆はたまサンなんてのもアリ。
BAR K6(京都市中京区)
小腹が空いた時にも、飲んだ後の〆にも。平日も賑わうオーセンティックバーで人気を誇るのが、ボリューミーなサンド。黒コショウとマスタードマヨネーズが効いて大人の味わい。
Tea Room サン(京都市東山区)
仕出し文化の残る祇園では夜の店で出前を頼むこともしばしば。そこで人気を誇るサンド。牛乳を入れ滑らかに焼いたたまごとキュウリを挟むのは、酒のアテにもなるようにと薄切りにしたパン。からしマヨネーズが味の決め手。
【新定番】これからの定番になりそうな個性派揃い。
やまもと喫茶(京都市東山区)
たまご色の皿にキリッと美しい三角のサンド。運ばれてきた瞬間、思わずうなり声が上がるビジュアルは新定番の名にふさわしい。弱火でじっくり温めるように火を通したたまごのプリッと感も魅力。11時まではモーニングも。
SONGBIRD COFFEE(京都市中京区)
キャロットラペにブロッコリー、ヨーグルトを添えたワンプレート仕立て。パンは〈ル・プチメック〉のミニ食パンを使用。軽くトーストしたパンに中は半熟に焼き上げたたまごをサンドして、食べ応えもたっぷりの一皿に。
遊形サロン・ド・テ(京都市中京区)
上品な姿のたまごとハム&レタスのサンドイッチは、老舗〈俵屋旅館〉で海外からのVIPゲストのためだけに当主自ら作っていたものと同じレシピ。ハーブ入りマヨネーズを塗った薄切りパンに挟むのは、とろりと仕上げたスクランブルエッグで優しい味わい。