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忘れられた日本のグルーヴを求めて。郊外のリサイクルショップを巡る〈黒盤掘部〉の活動を追う

レコードが眠っていそうな郊外のリサイクルショップなどを巡る、〈黒盤掘部〉なるチームがあると聞き、その活動に同行した。

初出:BRUTUS No.826「Summer Time, Summer Music」(2016年6月15日発売)

text: Katsumi Watanabe

トロイ・モアやデイム・ファンクなど、海外のレコードディガーたちが来日時に掘りまくっているのが、70〜80年代に日本人の音楽家たちが奏でた邦楽のグルーヴ。“和モノ”と呼ばれ、レアなものなら数万円単位で取引されるなど、DJ界ではブームになっている。東京の中古レコード店の在庫は枯渇し、価格も高騰するなど、実は日本人ディガーにとっては迷惑な話だとか。

そんなブームの中、都内で活動するDJたちの中に、ワンボックス車を駆って、レコードが眠っていそうな郊外のリサイクルショップなどを巡る、〈黒盤掘部〉なるチームがあると聞き、その活動に同行した。朝7時、恵比寿の駅前に集まってきたDJは、最高の夏、kowsk、ubus1、gm_tk、ポンポン丸、そのほか匿名希望の2名を加えた計7名。

ハードディガー集団の黒盤掘部
最高の夏(助手席)の笑顔とは対照的に、前夜の深酒が残る後部座席の面々。

早速、都内を出発。この日は北関東に点在する大型リサイクルショップを中心に回るという。最近買ったレコードなどの情報交換をする1時間半の道中、街道沿いに予定外のリサイクルショップの看板を発見。車を止め、早速レコードを取り扱っているか、店主に確認する。

店の奥には巨大なレコード棚が確認できたため、店主と交渉し、開店前にもかかわらず、一斉にレコードのチェックを開始。坂本龍一や寺尾聰の70年代の作品などが、次々と掘り起こされていく。価格は100円のものがほとんどで、高くても500円程度。「すでにほかの人が抜いた(買った)後でした」と言いながらも、レコードがパンパンに詰まった袋を両手に抱えて満足げ。

次の店でもまだ開店直後で、閑散とした店内に団体が入っていったため、驚く店員たちの表情が印象的。ここでは7インチのドーナツ盤シングルを大量に発掘。全員が凝視しているのは、参加ミュージシャン、プロデューサーや編曲家のクレジット。知らない歌手のレコードでも、佐藤博や林立夫などが参加していれば間違いないらしい。「本日は大漁!」。平均の購入枚数は1人100枚。それでも合計は1人1万円程度だから、都内で購入するよりも格安だ。

この日は場所を借り、買ってきたレコードをそのままプレイするパーティを開催するという。聴いたことのないレコードも多いため一同緊張した様子だったが、門あさ美『セミヌード』のミッドグルーヴから、久保田利伸「You were mine」などのジャックスイングまでが乱れ飛ぶ。

レコードハンティング中の様子をSNS上にアップしていたため、友人などが駆けつけ、気づけば大盛り上がりになっていた。