ゲームと音楽とアニメで唯一無二の世界観
——本連載の第2回のゲスト、〈Balming Tiger〉のサン・ヤウンさんが最も注目するクリエイターとしてお名前を挙げていて、ぜひお話をお伺いしたいと思っていました。まずはメンバーの皆さんの紹介をお願いします。
ソン・ギホ
アートディレクターでありビートメーカーのライオンクラッド、シンガーソングライター・音楽プロデューサーのムギア、CGアーティストのイ・ソンムン、映像・開発・企画および運営担当者のソン・ギホ、美術監督のパク・スミンの5人のメンバーで活動しています。
ムギア
僕とソンムンが小学校の頃からの同級生で、高校の時にライオンクラッドと友達になり、まずは3人で音楽活動をしていました。その後ミュージックビデオを作ろうとした時にギホが加わり、さらにアートディレクターとして活躍していたスミンが加わって今のメンバーになりました。
——グループ名の意味は?
ソン
韓国語で「아직(アジック)」は、「まだ、いまだに」という意味があり、「まだマジックワールドでも大丈夫」という、自嘲的だけど自分を慰める言葉であり、いつまでも幻想の世界にいたい気持ちを込めた名前です。
——活動内容を教えてください。
ソン
メンバーは皆ゲームとアニメーションが大好き。メンバーが持つ才能(絵、CG制作、ゲーム開発、音楽制作、映像、美術)を生かし、それがキャラクター制作、ゲーム開発、音楽制作、MV、イベントといった多岐にわたる活動になります。最初の活動は、2020年に発表した『Eyeballs(アイボールス)』。これは、“ジュジュビ”というキャラクターが宇宙船を造る過程をポイント&クリックのゲーム形式で表現したMVです。
ライオンクラッド
ゲームビジュアルと音楽を一緒に制作する人はいますが、私たちは実際にプレーできるゲームを制作し、それを撮影して没入度を高める。そこが大きな違いです。
——“ジュジュビ”というキャラクターについてもう少し教えてください。
ライオンクラッド
異空間の穴が開いて空から落ちてきたのが赤ちゃんのジュジュビ。そこに住む“トラキッズ”という子供たちがジュジュビを育てることになり、異空間から現れる敵=セイレンと戦う物語です。小さな頃からハンドパペットが大好きだったので、それをデザインに生かしました。ジュジュビのキャラクターを中心に、様々なクリエイションを展開しています。
——皆さんが影響を受けたゲームや音楽について教えてください。
ソン
2000年代のNEXONのオンラインゲーム『メイプルストーリー』や『カートライダー』で遊び、デザインや様々なことを学びました。
ムギア
音楽だと、韓国とアメリカのヒップホップ、イギリスのエレクトロニカを聴きながら育ちました。最近は日本のアニメ音楽から感じられる特有の繊細な雰囲気が好きです。
イ・ソンムン
4年前に偶然『となりのトトロ』を再度観たのが、キャラクターとアニメーションについての興味をより深くしてくれました。
ライオンクラッド
遊園地経営のシミュレーションゲーム『ローラーコースタータイクーン・アドベンチャー』は想像力をくすぐられるので好きでした。音楽で影響を受けたのは、ヒップホップ・アンダーグラウンド・ビート・カルチャー・シーンの人たち。例えば、フライング・ロータスのような方です。
——今後の予定を教えてください。
ソン
2026年1月に発売予定のアルバムを準備中です。ジュジュビに新たな局面が訪れます、お楽しみに!

今の韓国を定点観測するためのアーティストとコミュニティ
Artist

アーティスト。グラフィティの手法によるポップな絵画やアニメーションを制作。「済州島(チェジュド)にあるトッケビ(鬼)の彫刻が置かれた公園のオンラインプロジェクト『dokkebi.world』が面白い」(ライオンクラッド)。Instagram:@hailhaillab
Library

3人のクリエイターが運営する移動式図書館。「『ブ/ク/ブ/ク レンタルフレンド・ソウルガイドブック』という、メンバーがソウルを案内してくれる本を出版したりと、活動が面白い」(ソン・ギホ)。Instagram:@bookeubookeu
Online Radio

ローカルのクラブシーンや韓国のカルチャーコンテンツを多数配信しているコミュニティラジオ。「興味深いのは最先端のカルチャーを扱いながらも、いかにも韓国的なイベントを開催したりするところ」(ムギア)。Instagram:@scr_radio