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韓流アーティストの登竜門。サバイバルオーディション番組が熱いワケ

韓国ではアイドルに限らず、Hip Hop、バンド、ボーカル、トロット(演歌)まで、ありとあらゆるジャンルのサバイバルオーディション番組がどれも面白い。そろそろ飽きられているかと思いきや、さすがエンタメ大国!ひとときも目を離せそうにありません。

illustration: Kaya Noh / text: Eri Masuda

日本でもおなじみのあの人たちも

I.O.I、Wanna Oneなどを輩出した『プロデュース101』シリーズ、NiziUを生み出した『Nizi Project』、 最近では&TEAMのデビューが決まって間もない『& AUDITION』などなど。数々の人気アイドルグループを輩出してきた韓国のサバイバルオーディション番組は、日韓同時放映によりご存じの方も多いはず。あのTWICEも『SIXTEEN』(2015年~韓国で放送)というサバイバルオーディション番組を勝ち抜いたメンバーでグループが構成されている。

produce101の場面イラスト
サバイバルオーディション番組の歴史の中でも随一の盛り上がりを見せた『PRODUCE 101』 シーズン2。国民プロデューサーによる人気投票で順位が発表された。アイドル本人たちは自分自身の数値化された人気を確認し、順位を見て、デビュー圏内にいるのか判断する。残酷かつ過酷なルールだが、ファンは自分の推しが少しでも上位に入るよう投票に力を入れる。

ラッパーのサバイバルが熱すぎる!

“もうサバイバルオーディション番組はお腹いっぱい”なんて声も聞こえてきそうですが、ラッパーたちのサバイバル番組 『SHOW ME THE MONEY』に関しては昨年10周年を迎えてなお人気は衰えることなく、盛り上がる一方。賞金や賞品も年を重ねるごとに豪華になっていっています。シーズン3ではiKONのBOBBYがアイドルラッパー出身者として参加、ラッパーたちを退け優勝を勝ち取り、伝説のシーズン4ではゲスト審査員にヒップホップ界のゴッドファーザーことSnoop Doggが参加!

SHOW THE MONEYにSnoop Doggy Dogが登場
2015年、アジア人がマイクを握ってラップでバトルを繰り広げる番組『SHOW ME THE MONEY』シーズン4に、ラッパーのゴットファーザーSnoop Doggがゲスト審査員として参加。現在、BTSがアメリカの地で歓声を浴びているのも、この頃の布石が功を奏したとも言えるだろう。

その年はWinnerのMINOがアイドルラッパーとして準優勝を果たした。さらに「高等ラッパー」という名の通り、高校生縛りの番組まで現れて、番組の出身者が「SHOW ME THE MONEY」に出演し話題になるなど、大きなムーブメントに。

そして、昨年行われた「STREET WOMAN FIGHTER」という、女性ダンサーたちのサバイバル番組は大大大大ヒット。裏方的存在だったダンサーたちが日の目を浴び、一気にスター街道へ。CMはバンバン流れ、バラエティー番組にも引っ張りだこ。真剣勝負の様子もさることながら、各ダンサーグループのリーダーたちの存在や彼女たちが放つ言葉や態度が注目の的に。

STREET WOMAN FIGHTERの名シーン
2021年、女性ダンサーたちのサバイバル番組が放映。決断や責任を問われる“リーダー像”を色濃く描き人気大爆発。敵として戦うリーダー同士も根底に相手を尊敬する気持ちがあるため、土俵を降りれば互いを激励する。この次に10代限定で放映された『STREET DANCE GIRLS FIGHTER』を放映。BTSのメンバーも応援している様子をSNSにポストし話題に。

番組が視聴者に求められるワケ

コロナ時代に求められる資質こそが「リーダー」なのか、多くの視聴者の心を惹きつけていた。その後すぐに放送された10代限定の『STREET DANCE GIRLS FIGHTER』は、試聴していたBTSのメンバーがタイムリーにSNS発言するなど、人気絶頂に。男性版の『STREET MAN FIGHTER』が8月から放送開始され、初回から空前の盛り上がりを見せています。

サバイバルオーディション番組の面白いところは、芸能事務所所属の練習生(デビュー前)、改めて実力を試したいデビューしたけど売れない組、そして無所属の素人らが、一堂に会し同じ土俵で勝負するところ。アイドル、ラッパー、ダンサーなどジャンルや経歴を飛び越えて、同じ条件下で戦い、下剋上やどんでん返しなど、ドラマ以上にドラマティックな展開が待っているのだ。

ところが、サバイバルオーディション番組が人気の韓国では現実世界でもサバイバル。学歴競争社会に始まり、熾烈な就職活動戦争、社会人になった後でも昇進などをかけて常にファイティングポーズを強いられる。番組は視聴者が身を置く社会との鏡であり、日本人が想像する以上に番組が盛り上がる素地があるのです。