『ルックバック』の押山清高監督が影響を受けたアニメ映画3選。自身を形作った名作への思い

幼少期から大人になるまで、何百ものアニメ作品に触れてきた押山さん。BRUTUS「美しき、日本映画。」(2025年11月17日発売)では、自身がクリエイターとして多分に影響を受けた重要作を12作品厳選、各作品への思いを綴ってもらっています。本記事では、その中から3作をピックアップして特別公開中。

text: Shunsuke Kamigaito

『AKIRA』

膨大なエネルギーが生む、他を寄せつけないすごみ

『AKIRA』(124分/'88) 監督/大友克洋
近未来の東京を舞台に、超能力者の少年たちや軍隊の戦いが繰り広げられる。ハピネット/6,380円(BD)。©1988マッシュルーム/アキラ製作委員会

原作者の大友克洋が自ら監督を手がけ、当時としては破格の歳月と労力がつぎ込まれた作品。

「小学生の頃にたまたまテレビ放送で観て、異次元の緻密で刺激的な描写に驚き、その後も強烈な映像がずっと脳裏に焼きついていました。作品全体を通した画面作りには、それを先導できる監督と、アニメの可能性を信じる若き才能が、膨大なエネルギーを費やすことでしか生まれない“すごみ”があると思います。自分の仕事でも、“この映画に負けない情熱を注がなければ”と思わせてくれます」

『もののけ姫』

アニメーターになることを決めた映画体験

『もののけ姫』(133分/'97) 監督/宮﨑駿
室町時代を舞台に、自然の神々と人間の壮大な争いを描く。ハピネット・ディズニー/7,480円(BD)。©1997 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli

作画枚数を大幅に増やすなど、雄大な物語のために惜しみない労力が投入されたスタジオジブリの代表作。

「映画体験の素晴らしさを教えてくれた作品。高校生時代に隣町まで電車で出かけ、一人で初めて劇場で観た映画です。本作の製作から公開後までを記録したドキュメンタリー映像『「もののけ姫」はこうして生まれた。』を観て、自分はアニメーターという仕事を目指し、フィルムコミックを模写するようになりました。サウンドトラックも『アシタカせっ記』を何度も聴いていました」

『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』

リアリティとアイデアに刺激を受け続ける

『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』
『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』(87分/'97) 監督/庵野秀明、鶴巻和哉
アニメシリーズの“もう一つの結末”として描かれた、劇場版の完結編。キングレコード/19,800円(BD)。©カラー/EVA製作委員会

庵野秀明総監督の下、アニメシリーズのスタッフが結集。劇中に挟み込まれる実写パートも話題を呼んだ。

「アニメシリーズを知らない状態で深夜にテレビ放送されているのを観て。妙な生々しさとリアリティを持つ謎めいた物語、そしてそのスケール感に、“こんなアニメがあるのか!”と衝撃を受けました。磯光雄さんが原画を担当した弐号機と量産型の戦闘シーンは圧倒的で、そのリアリティとアイデアに刺激をもらうため、アニメーターになってからも何度も繰り返し観た映画です」

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