【セレクトする人】
小林和人(〈Roundabout〉〈OUTBOUND〉オーナー)
熊谷幸治の土器壺
縄文土器で炊くツヤツヤごはんの味やいかに……⁉
「米を炊いた!という充実感が最高」という素朴な壺は、縄文土器と同じ手法(粘土と水で成形して野焼き)で器や道具を生む土器作家、熊谷幸治の作。
炊飯用の壺ではないため、米の浸水から完成まで3合で約70分と時間はかかるが、「炊き上がりはツヤツヤ。そして旨い。古代の人の営みと地続きにいるロマンがあります。キャンプで焚き火炊きもしてみたい」。
金網つじの手編み手付き焼き網
サクサクふわふわに焼き上げる、京都職人の伝統技。
「トーストは外側がカリッとして中がふわっとするメリハリ感が最大の魅力。朝は腹持ちのいい厚めの食パンが好みです」。4枚切りの分厚いパンもサクふわに焼けるのが、平安時代から続く職人ワザ「京金網」の焼き網。
手編みした金網の下にセラミック網がセットされ、遠赤外線効果がある。丸洗い可能。パン1枚用の小サイズ。手編み手付きセラミック付き焼き網。
柏木圭の檸檬搾り
手に収まる心地よさと民具的な佇まいに惹かれます。
料理家にも人気の木工作家・柏木圭のロングセラー。硬質なカエデの木で作られているので、力を入れてぐいぐい搾れる。「手に持った際の収まりと、民具的な佇まいがいい。
スムージーのように食材をミックスする時は家電の力に頼りたいけど、素朴な飲み物には簡素な道具が似合います。夏の朝なら、搾ったレモンにショウガやメープルシロップを入れて炭酸で割るのもおすすめ」。
山崎大造のコーヒードリッパー
淹れる過程を楽しみたい。職人が作る竹ドリッパー。
高知の竹細工師・山崎大造が、地元の竹を切り出し、洗ってさばき、手編みして作るドリッパー。「コーヒーは“淹れる過程”を見つめるのが醍醐味でもある。西洋的な飲み物を東洋的佇まいの道具で淹れるというのも楽しく、しみじみ感が違いますね。
竹を編むという構造が、そのまま形に直結しているデザインにもぐっとくる。簡素な道具は、自分でメンテナンスができる点も魅力です」。
ババグーリの蒸し器
使えば使うほどいい色に育つ、銅製のオーバル鍋。
「ホカホカの蒸し野菜は、シンプルにオリーブオイルと塩、もしくはユズコショウで。休日の朝食なら、蒸し豚や蒸し鶏にも挑戦したいですね」。
〈ババグーリ〉はヨーガンレール社による手仕事ブランド。一枚の銅を鎚で丹念に叩いて形作る蒸し器は、丈夫で熱伝導がいい。「経年変化を楽しめる銅の表情も大好きです」。ステンレスの中敷き板付き。
及源鋳造のフィッシュパン
魚1尾丸ごと焼ける、南部鉄器の名デザイン。
岩手県奥州で900年前から続く鉄鋳物の道具、南部鉄器。その老舗〈オイゲン〉の蓋付きフィッシュパン。魚1尾丸ごと調理できる形は、名匠・小笠原陸兆のデザイン。
「モダンで和にも洋にも馴染む姿。鋳物の蓄熱力でムラなく均一に焼けて、魚の表面と内側、それぞれの食感も楽しめます。朝食なら、銀ダラの塩焼きがたまらないですね」。IH対応。