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レンガ倉庫の中に建てた、山荘みたいな小さな家。コロニヘーヴ代表・大谷浩輔の居住空間

自分にとって心地がよく快適な場所とは、どんな空間なのだろう。気持ちのいい場所で自分のペースで過ごす時間は、何物にも代えがたいものだ。住まい手による魅力的な暮らし方を紹介。

photo: Taro Hirano / text: Tami Okano

小ささは暖かさ。3連の四角い窓から山々を望む

北海道は東川から美瑛(びえい)へと抜ける国道沿いに、町のランドマークとも言える築60年のレンガ倉庫がある。地元・東川農協が穀物倉庫として使っていた建物で、大谷浩輔さんはその倉庫を買い受け、建物の3分の2をスケートボードのインドアパークに、残り3分の1をスノーボード関連のオフィスと住居に改修し、暮らしている。

幅21m、奥行き10m、高さ10m。住居はその一部とはいえ、建物の前で「家はここです」と言われたら、誰もが驚く迫力の外観。正面の玄関ポーチをくぐり、やぐらのように組み上げられた2階への階段を上ると、思いのほか小さな「住まい」への入口がある。

室内は、こぢんまりとしたヒューマンスケールで居心地がいい。窓からは、右に十勝岳連峰のオプタテシケ山、左に大雪山系の旭岳。山々の稜線をダイニングからぼんやりと眺めていると、アルプスの山荘にいるような気分になる。

「住居部分を大きくしようと思えばいくらでもできたけど、ここを買い受けたのは、長年の夢でもあったインドアパークを造りたかったから。パーク優先で考えれば、住居部分は70㎡もあれば十分かなと。そもそも倉庫に住むにあたってのネックは寒さと暗さ。広くすると寒い。あとは明るさを確保するため、どうやって窓を開けるかが一番の課題でした」

レンガの壁は内外で二重になっていて、サッシの大きさに合わせ、ドリルで一つずつレンガを取り除く作業はなかなかの難事。それでも「明るいって大事ですね。開けてよかった」と大谷さん。改装は大工でもある大谷さんが仕事の合間に自ら行っているため、工事開始から3年以上が経つ今も、未完成の部分がたくさんある。

「次に取り掛かりたいのは階段の仕上げ。屋根裏もまだ手つかずで、これもまたけっこうな作業量。もう一頑張りです」