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熱帯魚を見るなら、〈葛西臨海水族園〉へ。Tsugumiと巡る世界各地の海

今、水族館が面白い!世界有数の水族館大国である日本には、世界初の発見や環境保全の取り組みで国内外をリードする大型から、街中でふらりと通える洗練された都市型、特定の種を集め知的好奇心を刺激する特化型まで、個性の強い水族館があふれている。そして、その中心はもちろん、かわいくて、不思議で、驚異的で、生命の神秘が詰まった生き物たち。推しの生き物が見つかったら、今すぐ水族館へ!

photo: Satoshi Nagare / text: Asuka Ochi

世界各地で異なる熱帯の海を、一つずつ、旅するように巡る

東京湾に浮かぶように立つガラスドームの下に、大水槽を群泳するクロマグロをはじめ、多彩な生き物たちの世界が広がる〈葛西臨海水族園〉。雨予報の朝、園を訪れたのはモデルのTsugumiさんだ。

「雨の日の水族館って、心地がいいんですよね。外の湿度を感じながら魚たちを眺めていると、水槽と自分との境目が曖昧になるような気がするから。水族館は好きで月に1度は訪れていますが、ここは初めてなのですごく楽しみです」

胸を躍らせながら足を止めたのは、温かなサンゴ礁域から冷たい北の極地まで、海域ごとに違う海の生態を紹介する〈世界の海〉エリア。熱帯の海も一緒くたにせず、南シナ海、ブラジル沿岸、グレートバリアリーフと、場所によって細かく水槽を分けて展示。各地の自然環境を再現した、水温や明るさがそれぞれ異なる小さめの水槽が並ぶ。

「カラフルで美しい、これはハワイアンクリーナーラスかな?ルックダウンはすごく薄くて、正面顔の迫力がエイリアンみたい(笑)。レモンブダイは、いい口をしててカワイイですね!いつも魚の顔や口を見て、この子はあの友達に似ているなとか、何を考えて泳いでるんだろうって想像しながら、お気に入りの子をぼーっと眺めて過ごすんです」

南シナ海の水槽の中で、ベラ科で世界最大のメガネモチノウオが、岩の穴を器用にくぐり抜けていく。ハワイ沿岸の展示では、フグ科のハワイアンホワイトスポッテッドトビーが、小さな体を膨らますレアな瞬間にも遭遇できた。

サンゴ礁のある海が育む、多種多様な熱帯の風景

「熱帯の海は色とりどり。地域ごとに魚の姿形も全然違いますね」そうTsugumiさんが言うように、寒い地方の海と比べて熱帯は生き物の種類が豊富。各地で色や模様、大きさも違う種が生息している。

その理由の一つとして大きいのは、サンゴ礁のある環境だ。透明度の高い海はプランクトン量が少なく貧栄養な代わりに、太陽光を浴びたサンゴがエネルギー源となり、その複雑な構造が小さな魚の生息域となる。魚たちは、熱帯の海域によってもまた異なる独自の進化を遂げ、一つ一つ特徴の違う、彩り豊かな海の風景を作り出す。

「多様な熱帯の海を一度に散策できて楽しかったです。施設ごとに特性や見られる魚の種類も違うから水族館巡りは面白い!またレモンブダイに会いに来たいですね」

東京〈葛西臨海水族園〉園内の水槽