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井口可奈のお笑いライブ偏愛日記:第23回『舞台映え』

小説、俳句、短歌などを書く井口可奈が、訪れたお笑いライブを熱く語る連載、第23回。前回の「HOS 25周年ライブ」も読む。

text: Kana Iguchi

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公演日:4月2日
公演名:舞台映え

井口可奈のお笑いライブ偏愛日記:第23回『舞台映え』

「映え」という、つまり「良く見えること」を意味する言葉が最近よく使われていますが、このライブは舞台上でよく映えるネタが披露されるという趣向です。

MCのエルフがオープニングで、舞台映えって舞台を広く使うことだよね?と発言していたことを面白く思いました。筆者はもっとキラキラしてる衣装を着る、照明をいろんな色にするなどという単純なことを予想していたので、たしかに動きがあるというのは映えの一種だなと納得しました。

エルフの言う通り舞台を広く使ったネタを披露する芸人が多く、特にめっちゃ最高ズはいつもの大暴れする芸風をさらに拡大して、舞台上をくまなく転がり走り回るもはや体育大会のような漫才を披露していました。また金の国は衣装の着替えの多いネタを行い、それも確かに舞台に映える一つの要素だなと思いました。

中盤に登場したのがピン芸人の友田オレ。地味な衣装を着ていて、一見舞台映えとは程遠く見えます。ハンドマイクを持っていない友田オレが歌い始めると声がはっきり聞こえてきて、どうやら口元に小さなマイクがセッティングされているようでした。美しい声で歌ネタを行う友田オレは舞台をゆっくりと歩きます。その動きは繊細さを持っていて、歌声の甘い響きとネタの面白さも相まって、一挙一動に注目して目が離せなくなってしまいました。派手ではないけれどしっかり魅了するネタをする、これもまた「舞台映え」だなと思い、舞台映えという言葉の解釈の膨らみに、とても感動してしまいました。

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