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井口可奈のお笑いライブ偏愛日記:第14回 男性ブランコ『やってみたいことがあるのだけれど』

小説、俳句、短歌などを書く井口可奈が、訪れたお笑いライブを熱く語る連載、第14回。前回の「第13回『大久保八億の火の鳥』」も読む。

text: Kana Iguchi

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公演日: 5月10日〜14日(6月22日視聴)
公演名: やってみたいことがあるのだけれど

男性ブランコ『やってみたいことがあるのだけれど』

横浜の赤レンガ倉庫で公演するなんてかっこいい、と思っていたらチケットが取れず配信で見た、男性ブランコの単独ライブです。

1本目のネタは漫才で始まりました。ジャケットが今回の公演のビジュアルイメージを使ったカラフルなもので、見入ってしまいます。どうやら「やってみたいことがあるのだけれど」というフレーズが次のネタへと移る合図であるようで、舞台両端に並んでいるトルソーにかけられた衣装をとって着替え始めます。普段は音楽のネタを行っているトニーフランクによる生演奏のギターを聴きながら、幕間をずらりと並んだ衣装たちを眺めて過ごします。次のネタはどんなものであるか、楽しみが膨らんでゆきました。

特に好きだと感じたネタは研究者のコントで、展開が面白く、また、白衣の衣装も2人それぞれで少しずつ違っているところが凝っていると思いました。また、別のコントで、ギターを弾く浦井さんに合わせてトニーの演奏が流れる仕掛けも素敵に見えました。

舞台作りの美しさ、「やってみたいことがあるのだけれど」でネタを切り替えること、間の繋ぎ方が生演奏であることから、わたしはラーメンズ、あるいは小林賢太郎が演劇『うるう』で見せたチェロの生演奏を使った手法を想起しました。ラーメンズの系譜が男性ブランコのオリジナリティに変化して表現されていることが良いと感じました。

ネタの中に頻出していた「おばけ」というフレーズは、死や輪廻のモチーフでありながらかわいらしくて、ぼんやりと人生について考えながら、ライブを見終えました。

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