Play

Play

遊ぶ

井口可奈のお笑いライブ偏愛日記:第3回『真夏の笑フェス2022』

小説、俳句、短歌などを書く井口可奈が、訪れたお笑いライブを熱く語る連載、第3回。前回の「第2回『小松海佑の90分』小松海佑」も読む。

text: Kana Iguchi

連載一覧へ

公演日: 7月20日
公演名: 『真夏の笑フェス2022』

上野・不忍池水上音楽堂(野外ステージ!)で行われるマセキ芸能社主催の年1回のお祭りのようなライブが『真夏の笑フェス』です。他事務所の芸人さんもたくさん参加するこの笑フェスで、今年はリップグリップ、マタンゴなどの若手芸人による前座ライブも会場を沸かせました。このフェスでは芸人さんが会場の運営をお手伝いしています。普段ステージでしか見ることのない芸人さんがそれぞれのスタイルで働く姿は興味深いものでした。


この日一番印象に残ったのは狩野英孝です。彼の名前が呼ばれると会場は盛り上がりを見せ、大きな拍手が起こりました。観客の期待が高まる中、携えていたギターを弾いてクセの強い「翼をください」を歌い始めると、客席に一体感が生まれたように思いました。笑いどころのしっかりつくられた狩野のネタはよくウケて、笑いやすい空気がつくられてゆきます。華のある芸人が出てくるとはこういうことなのだと嬉しくなります。わたしが10年以上前に同じ会場で見た「ラーメンつけ麺ぼくイケメン」で戦っていた彼に比べて、スター性がぐっと強くなったのを感じました。


ほかにも、ガクヅケによるポップな前説、三四郎の痛風によるアドリブ満載の漫才、フランツ、ラブレターズも面白く、宮下草薙のマイクに風の音が入るアクシデントも野外ならではのものでした。後半はダウ90000、春組織、サスペンダーズが特に好きでした。最後はオダウエダ、真空ジェシカ、ナイツ塙のケーシー高峰、と下ネタが続いたのち、大トリのかが屋がしっかりといいコントを見せてくれました。

帰りには、物販を担当しているリップグリップ倉田紘顕さんの張りのある声が会場の外まで聞こえていたのが印象的でした。そこまでが笑フェスなのです!

連載一覧へ