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井口可奈のお笑いライブ偏愛日記:第1回 怪奇!YesどんぐりRPG『ギャし野グん「恋」』

小説、俳句、短歌などを書く井口可奈が、訪れたお笑いライブを熱く語る連載、第1回。

text: Kana Iguchi

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公演日: 4月10日
公演名: 『ギャし野グん「恋」』

『ギャし野グん「恋」』怪奇!YesどんぐりRPG

過去最大規模での開催となった、お笑いユニット怪奇!YesどんぐりRPGの単独ライブ。これまで、一人の客に狙いを定め、目の前で延々ギャグをやり続けるなど、狭い会場ならではのふざけ方をしてきた3人がどう出るのかが楽しみでチケットを取りました。

会場となった草月ホールは満員。大きなパネルを舞台の両側に配置し、ステージの余白を少なくしていました。今回の公演は最初から最後までほぼ明転したままノンストップで行われ、全編にわたり撮影も自由。その内容も、コント、漫才、ジャンル分け不能なものと様々です。『R−1グランプリ』で披露したネタを3人それぞれが舞台上で同時に行ったり、ネタ中に生配信をしてみたり、唐突にトム・ブラウンが登場したり、「僕らの生みの親のような人」として登場した3人の実の母親たちが漫才を披露したりと、怒濤の展開。一方で、舞台に設置されたボタンを押すと金澤TKCファクトリーが現れるという設定が伏線となり、終盤で効果的に使われるなど、全編を一つの流れとする仕掛けも。はちゃめちゃな中にこだわりの詰まったライブでした。

最後の挨拶で驚いたのは、サツマカワRPGが「僕は人の力を借りないとなにもできない」という旨の発言をしていたこと。学生お笑い時代から常に最先端の存在だった彼のそばにも、いつも仲間たちがいたのだなと、たくさんの演者が並ぶ舞台を見ながら思いました。帰り道に星野源「恋」を再生。

「二人を超えてゆけ、一人を超えてゆけ」という歌詞の通り、三本の矢のようにしなやかな彼らの強さを感じる大満足の単独公演でした。

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