音楽史を塗り替えたミュージシャンの
知られざる若かりし日々。
ザ・ビートルズのリーダーとして一世を風靡し、解散後も世界平和のために歌い続けたミュージシャン。ジョン・レノンと聞けば、そのくらいのことは一般教養として知っているだろう。しかし、それ以前のことは、熱心なファン以外には知られてないかもしれない。
『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』によれば、両親の離婚を機に伯母に引き取られ、不良街道まっしぐらだった彼がミュージシャンを志すきっかけは、実の母との十数年ぶりの再会だった。この母こそが彼に楽器の楽しさを教えた張本人なのだ。ギターを手に入れ、仲間とバンドを結成したジョンは、ポール・マッカートニーやジョージ・ハリスンと出会ってメンバーに引き入れたりしながら、地元でライブを重ねる。映画は彼がバンドとしてハンブルクに出稼ぎに行くシーンで幕を閉じる。
そのハンブルク時代を描いたのが『バック・ビート』だ。主人公はジョンではなく、彼にそそのかされてメンバー入りさせられた初期メンバーのスチュアート・サトクリフ。彼がハンブルクで女性アーティストと恋に落ち、脱退を決意するまでが描かれる。そんな彼らが演奏するのが、場末のストリップ小屋だ。あのビートルズにも下積み時代があったんだと思うと感慨深い。
同作でジョンを演じたイアン・ハートは『僕たちの時間』でも彼を演じている。製作年的にはこちらが先だが、それほど若いジョンに似ているということだろう。本作ではデビュー直後のジョンが、当時のマネージャー、ブライアン・エプスタインと2人で行ったスペイン旅行が描かれる。旅行自体は史実らしいが、かなり脚色されているようなので、話半分で観た方がよさそうだ。