愛って、映画そのもの
映画とは、どういう形にせよ愛を描いているとは思いますが、恋愛といえばフランス映画。今回最初に浮かんだのは、短編映画『ラ・ジュテ』です。モノクロのスチールカットで構成された少し変わったSFモノで、それだけでも面白い作品ですが、実は1カットだけムービーになっているんですね。主人公の愛を象徴しているカットですし、時空を超えた力強い愛をテーマにした作品です。
そして、レオス・カラックスの『汚れた血』も、同じく観た時に衝撃を受けた作品です。文学を映像化したようなカラックスの作品には大きな影響を受けましたね。
3本目は、ジャン=リュック・ゴダールの『気狂いピエロ』です。もともと、恋愛映画が苦手なのですが、こういう形なら気恥ずかしさを感じることなく観られると思った作品でした。60年代のフランス映画の勢いやポップ感、詩的なセリフもすべてひっくるめて芸術だと思える映画ですね。
結局のところ、愛って相手への思いやりだと思うんです。好きな監督やスタッフ、共演者だからこそ身を捧げて作品のために頑張れるという意味でも、映画そのものが基本、愛情でできていますよね。石井裕也監督の最新作『月』でも、僕が演じた昌平は妻・洋子(宮沢りえ)を支えているようで支えられている、互いに補い合うような、なくてはならない愛の関係だと思います。