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ジャズ人気の裏には、とある雑誌が?音と文字のいい関係

ジャズを取り上げ、その奥深さを発信している海外のメディアを紹介。そのデザインやインタビュー内容からは、デジタルの媒体からは知ることのできないジャズの魅力があります。

text: Mitsutaka Nagira / edit: Kaz Yuzawa

好調なJAZZを良質な雑誌が支援

フィンランドに〈We Jazz〉というジャズレーベルがある。レコードでのリリースにも定評がある彼らが2021年からジャズ雑誌『We Jazz Magazine』を定期刊行していて、その内容の良さとデザインの秀逸さにより、世界中のジャズ関係者の間で静かな話題になっている。

またトランペット奏者のジェレミー・ペルトは、コロナ禍を逆手にとって黒人ジャズミュージシャンへのインタビューを大量に行い、それをまとめて『GRIOT』として刊行した。両方ともデジタルなしなのが特徴だ。

UKジャズが好調なイギリスではレコードショップのラフトレードが出版部門を立ち上げ、小部数で発行しているZINEの中にUKジャズの本がいくつかあったり、ジャーナリストのエマ・ウォーレンが自費出版で作ったUKジャズに関するルポ『Make Some Space』が高い評価を得たり、UKジャズの盛り上がりは紙のメディアにもサポートされている。良質な紙のメディアがまるでレコードブームと共振するように出版されているのはとても興味深い。

雑誌『We Jazz Magazine』、『GRIOT』、『Noting Voices』
『We Jazz Magazine』(上)は現在6号まで刊行。『GRIOT』(下左)にはグラスパーのインタビューも掲載。ラフトレードのZINE『Noting Voices』(下右)は若手のハシーブ・イクバルが執筆しているのもポイント。