ブルーノートやノンサッチといった名門がコンスタントに重要作をリリースしていたり、シカゴのインターナショナル・アンセムがオルタナティブなジャズをプレゼンテーションしてインディー音楽リスナーを魅了していたり、またイギリスのエディションが次々に大物と契約して話題をさらったりと、今もメジャーレーベルはジャズにおいて重要な役割を果たしている。
ただ、SpotifyやApple Music、Bandcampで音楽を聴くのが主流になっている状況下では、アーティストがレーベルに求めるものは変わり、レーベルの在り方も変化しているようだ。
LAのプロデューサーのフライング・ロータスが自身のレーベルのブレインフィーダーを設立し、アーティストの意志を尊重した運営を貫き、サンダーキャットやカマシ・ワシントンを成功へと導いたことは記憶に新しい。のびのびと自らを表現するブレインフィーダーのアーティストの姿はシーンを刺激し、そこから触発されたかのように、近年アーティスト自身がレーベルを運営するケースが明らかに増えている。
もしかしたら大物プロデューサーのドン・ウォズが指揮を執り始めてからブルーノートの存在感が増していることも、同じ文脈で語ることができるかもしれない。
音楽業界の環境がどんどん変わっていく中で、アーティストの音楽制作のやり方も作品のリリースペースも、そしてリリースの形態も変わってきている。アーティストレーベルはそれに対応する回答の一つとして確実に広がり始めている。
アーティストが運営するレーベル