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デザイナー・高原宏が語る山下達郎の名盤『FOR YOU』制作秘話

数々の名曲は、アートワークとともに記憶されているはず。ジャケットを眺めることで、山下達郎のキャリアを振り返ろう。さらに、名作ジャケットたちを手がけたクリエイターたちにも、制作秘話や音楽への印象を語ってもらった。

text: Hitoshi Kurimoto

イメージカラーは
赤・青・黄の組み合わせ

西城秀樹に関わっていた関係で、RCAから「LOVELAND, ISLAND」のロゴを作ってほしいとオーダーされたのが、達郎さんと知り合うきっかけ。「LとI」の文字にヤシの木をデザインしたようなロゴだったけれど、あれはプロモーション用で使われたんじゃないかな。

実際にしっかりと組んだのは『FOR YOU』から。達郎さんの家で一緒に本を見て「この鈴木英人っていいよね」って話になった記憶があります。大滝詠一さんの『A LONG VACATION』での永井博さんには「絶対に負けたくない!」っていう気持ちもありましたね(笑)。

白枠を作らず裁ち落としで全面イラストを使ったことや、裏ジャケのポストカードも僕のこだわりです。『MELODIES』の時はこれまでと違うイメージにしたいというオーダーがあり、タイポグラフィだけのデザインなど、好きなようにやらせてもらいました。達郎さんは「こういうふうにしてくれ」とは一切言わないんです。

アートワークにこだわるけれどクリエイターを尊重してくれる。『GREATESTHITS』や『MELODIES』のジャケットを、後から見て気づきました。僕にとっての達郎作品のイメージカラーは赤・青・黄の組み合わせだったんだなってね。

携わった主な作品