居心地のいい寝室を造るために起きて目に入るものを厳選する
「朝起きた時に最初に目に入るものと考えると、寝室は本当に好きなものしか置きたくない、そんな場所ですね」と話すのはインテリアショップ〈アクタス〉に勤める泉哲雄さん。妻でギャラリーショップ〈パティーナ〉を営む美貴子さんと娘の3人で暮らすヴィンテージマンションの寝室は、20年ほど前にリノベーションした室内のうちの一室。
アートが好きで、写真や器、家具などを家中にディスプレイしている哲雄さんだが、寝室は至ってミニマル。美貴子さんは「もともとすっきりさせたい派なので、物が溢れるリビングでは互いに折り合いをつけながら生活していますが、寝室に関しては価値観を共有できています」と笑う。

ベッド周りには、昔子供の読み聞かせのために買ったスウェーデン作家の絵本、ドイツの写真家ヴォルフガング・ティルマンスの写真、〈ハワードミラー〉のアラームクロック、北アイルランドを拠点とする陶芸家デレク・ウィルソンの陶器、イギリスの画家デイヴィッド・フィリップスの絵画などが、それぞれセレクトされて大切に飾られている。
「現代アートも多いので、モダンになりすぎず、少しヴィンテージのものを混ぜながら、なるべくシンプルな空間を心がけています」

天井から吊されたペンダントランプはスウェーデンのデザイナー、グレタ・マグヌソン・グロスマンのもの。寝室の照明は部屋全体を明るくするよりも、ほんのりと“灯す”くらいの感じにしたいと哲雄さん。
「理想の睡眠空間を考えた時に、もちろん寝具なども大事ですが、それらは毎日使いやすいかが大切。一方で、フォルムや佇まいの美しさも機能の一つだと思っているので、生活のどういうシーンで目に入るのか、何を寝室に置いたら気持ちに作用するか。そんなことを考えていくと自分にとっての居心地のいい空間ができるのかなと思います」

