雑貨や料理を通じて、“あの頃”を生きた人たちの生活に触れる
2冊の著者であるイスクラさんは、旧社会主義国の雑貨を販売するウェブショップを営んでいる。以前から買い付けのため定期的に海外へ渡っていたが、はじめから食に強い興味があったわけではなかったという。仕事部屋のインテリアを東ドイツ風のアイテムで揃えたり、社会主義時代の食器を使うようになってから、徐々に当時の労働者たちの食事情に目が向いていったそうだ。
「“味わう”ということは最も手軽に異文化に触れる方法です。私は偶然に日本に生まれ、この国の食べ物で育ちました。一方で同じ時代を全く違う政治体制と経済で生きてきた人が育んだ文化があり、当時のものを集め調べていくとなぜか懐かしさが伴います。どのようなものが人々に親しまれてきたのかを見聞きするうちに、そこに生きる人たちなりの幸せの形がそこにあったのだということから抜け出せなくなり、ずっとずっと“生活”を追い続けています。
私は過去の時代の文化(民生品や食文化)を主に扱っているわけですが、昨今の情勢を受け、社会主義だった時代がまた一つ過去になっていくような新たな局面を迎え狼狽しました。日本においては、タブーとまでは言わないものの言及しにくくなったように感じます。ただ、その時代を生きた人々の歴史や文化は変わりません。これからも“知る”ということを自分の方法で続けていきたいです」(イスクラさん)
本で紹介されているレシピをつくってみよう
「旧社会主義国の家庭料理をつくってみよう。おすすめレシピ3選」では、『ノスタルジア食堂』『ノスタルジア喫茶』に記載されているレシピの中からおすすめの3種類を紹介。
異国の文化を自宅で再現してみては。