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ポストモダン“らしさ”とストリートカルチャーが共演。名作集合住宅〈ネクサスワールド〉の住まい

自由で快適な清々しい部屋には、どのようないい空気が流れているのだろうか。今回はスケートボードショップ〈LATITUDE〉オーナー・石川誠さんが暮らす、90年代の集合住宅を改修したモダンハウスを訪れた。

photo: Masaki Ogawa / text: Masae Wako / edit: Tami Okano

暮らす人:石川誠(〈LATITUDE〉オーナー)

90年代の名作集合住宅を改修したモダンハウス

建築好きになったきっかけはスケボー。ストリートの景色を形作る存在であり、“ここで走ったら気持ちよさそう!”とワクワクさせてくれる造形物でもあるから。個性的なこの建築も、昔からカッコいいなと憧れていたものの一つです」

福岡市内でスケートボードショップ〈LATITUDE〉を営む傍ら、写真家としてカルチャー誌や映像の世界でも活躍する石川誠さんがそう話す。「この建築」とは、地元・香椎浜の集合住宅群〈ネクサスワールド〉。磯崎新がコーディネートし、国内外の建築家6名が競作したプロジェクトである。石川さんが暮らすのはアメリカの建築家スティーヴン・ホールが設計した1991年竣工の棟。若手建築家の山根俊輔が改修した一室だ。

室内は2層分のメゾネットで、下階が個室、上階に玄関とLDKと水回り。上階はさらに段差のあるスキップフロアになっている。複雑な高低差や凹凸の多い空間がいかにも個性派スティーヴン・ホール!と思いきや、リノベ前は居室が細かく仕切られ、内装も一般的なクロス張り。設計者の個性が見えづらかったという。そこで山根が考えたのは、「外観やエントランスに見られるスティーヴン・ホールのデザイン性を取り込み、室内の隅々にまで“らしさ”を行き渡らせる」ことだった。

まずはコンクリートや左官壁など多彩な素材を組み合わせ、空間に豊かな表情をもたらした。仕切り壁をなくして自然光を大胆に取り入れたのも“らしさ”の一つ。壁や梁の青は外壁の色をサンプリングし、白床に黒縁という共用部のディテールも採用した。構造はそのまま、簡単な解体と仕上げでアップデートしたわけだ。

こうして伸びやかになった空間に、グラフィカルなアートやボードがよく映える。立つ場所によって景色が変わるのも「視覚的な刺激があって飽きない」と石川さん。

「最近は仲間が集まり、料理を作ったりここで話し込んだりすることもしょっちゅう。段差が多いから好きな場所に座れて、大勢でも居心地がいいんです」