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作家・いしいしんじの好きな朝食の話

最高の朝食とは、贅沢である必要はない。 いつもの朝食を、いつものように食べる。 だから朝食には、その人らしさが顔を出す。 いしいしんじさんは、どんな朝食をとっているのだろう? 気持ちいい一日を過ごすための、最高の朝食の話。

初出:BRUTUS No.798「続・最高の朝食を。」( 2015年4月1日発売)

photo: Nagahide Takano / text: Koji Okano

大人になって気づいた藁入り納豆の美味

僕は朝食に特別なものは求めません。ご飯と味噌汁、昔から舌に馴染んだものが一番いいんです。あと納豆も必ずと言っていいほど、食卓に並びます。関西人は納豆が嫌いって思われてるけど、違います。僕が子供の頃は本当に売ってなかったんです。

ある時、近所で月2回ある美山特産市で藁(わら)入りの納豆を見つけてきたんです。これが本当においしくて。子供も気に入ったようで、以来、藁入りからパック入り、時には栃木などから取り寄せた納豆が、朝の食卓を彩るようになりました。