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〈按田餃子〉店主・按田優子の3つの愛用品

961号『居住空間学2022』で、11人の方々に愛用のインテリアプロダクトを聞いた企画「わたしの愛用品」。本誌では隠し扉付きの棚を紹介してくれた按田優子さんが、長年使い続けている愛用品について語る。

text: Masae Wako

高校生のときに買った、今もいちばん好きな椅子

〈按田餃子〉店主・按田優子の椅子

ひとめで「愛用されてきたんだなー」と分かるその姿。長年使い込まれた木のスツールは、按田さんが高校3年生のときに〈ザ・コンランショップ〉で買ったものだ。「人生で初めて自分のお金で買った高い椅子。何万円かしたと思います。“いつか自分の好きなものをたくさん置いた部屋でひとり暮らしをしたい”と思っていた当時の私は、その頃からひとつずつ気に入ったものを増やしていきました」 

「もちろん現役。28年選手です。今でも背もたれのある椅子やフカフカした椅子をあまり好まないのは、お尻の形にフィットしたこの木の椅子の座り心地を最初に覚えたから」という按田さん。それ以来、大の椅子好きになった。「ひとつずつ違う椅子を集め、気分に合わせて座るようになりました。そういう好みを方向づけたきっかけがこの椅子。いちばん好きな一脚です」

自作の“布団干し兼ハンガーラック”

〈按田餃子〉店主・按田優子の自作ハンガーラック

「これまた高校生のときなのですが、この黒い部品を見つけてすごく感動してたくさん買ったんです。1セット280円でした」。水平のバーと脚を繋いでいるパーツ金具の話である。DIYが好きだという按田さんはこの金具を、2×4の板(断面が3.8×8.9cm)と組み合わせ、いろんな使い方にトライしてきた。「写真のような脚を2セット作った上に天板を置いて、机にしていた時期もありました」

「いただきものの机が我が家に来てからは、机の脚にすることはなくなりまして。今は布団を干せる高さに切った板をはめて布団干しにしています。水平のバーにはハンガーを吊るせる小さなフックをいくつか付け、来客用の上着かけとしても使えるように。布団を干していないとき、部屋の中にあっても変ではないところがとても気に入っています」

台湾へ渡った漢民族の古い家具

〈按田餃子〉店主・按田優子の漢民族の古い家具

「宝箱のようなハコもの(上)も箪笥も、収納家具として機能的なわけではないのですが、とても愛着がある。工具類や使っていない額縁など、外に出ていると無粋なものをゆったり優雅にしまうという贅沢な使い方をしています」と話すのは、本誌で紹介した“隠し扉付きの棚”といっしょに按田家へやってきた古い家具。

「店じまいする骨董屋さんから受け継いだ知人が、“自分の家には到底入らないから永久に預かって!”と譲ってくれたもの。台湾に渡った漢民族の家具なのでは、と仰っている方がいて、これは欲しくてもなかなか手に入らないものなんだな、と思いました。狭い部屋に引っ越したときもトランクルームに預け、たまにブライワックスで磨いてお世話しながら、ずっと手放さずにいます」