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手がかかるけど愛おしい。カマキリの造形美と成長を楽しむ。生物学者・山崎和久の愛で方

主に草地に生息するカマキリ。これを自然ではなく手塩にかけて、いかに美しく育てられるか。生物学者の山崎和久さんの、“プラカップ”でのカマキリ飼育の楽しみとは?

Photo: Kazufumi Shimoyashiki / Text: Koji Okano

日本でカマキリといえば、緑色か茶色のシンプルなボディ。しかし、鎧のようなマオウカレハカマキリや、ランの花びらに似たハナカマキリなど、今、熱帯地域に生息する珍しい種が注目されている。

「外国産のカマキリはカブトムシやクワガタの販売店などで取り扱われるが、流通量が少なく入手困難な種が多い。また日本とは異なる環境で生まれ育った種を、国内できちんと育てるのはすごく難しいんです」

外国産を含めて、数百匹のカマキリを飼う山崎さんの自宅は、いつも暖房がフル稼働。また蛾やショウジョウバエなどの生虫を餌とするため、それらを確保する必要がある(最近は昆虫ショップでの購入も可能に)。

「テラリウムの中だと放し飼いができますが、餌の食べこぼしや糞の掃除がつきもの。だから私は一匹ずつ、プラカップに入れて育てています。カマキリは幼虫の頃からカマキリ然とした姿をしているからこそ、成長を観察するのが何より面白い」

オオカマキリやマオウカレハカマキリなどを机の上で愛でる山崎さん。プラカップの中には、ぶら下がり用に切った鉢底ネットを入れている。
オオカマキリやマオウカレハカマキリなどを机の上で愛でる山崎さん。プラカップの中には、ぶら下がり用に切った鉢底ネットを入れている。

変化を見極めて脱皮のスペースを確保できるよう別のケースに移したり、手のひらの上で交尾させたりと世話が大変だが、手塩にかけた分だけ成長を見守る楽しさが増すそうだ。

「外国産のカマキリは魅力的ですが、安易に取り扱ってはいけません。放逐はもちろん、生態リスクの高い種の流通にも与しないように。まずは身近なオオカマキリやコカマキリから始めてみましょう。寒くなる10月〜12月は、目立つ場所で日光浴しているので捕まえやすい頃合いですよ」

国内外に生息する、形も色彩もユニークなカマキリたち。