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作家・池波正太郎が描いたフランス。江戸の粋×パリのエレガンスが、Tシャツになった

戦後を代表する小説家にして、食に関するエッセイを数多く残した池波正太郎。絵画においても非凡な才能を発揮し、作品を残している。今回、パリの最古のブランドの名を受け継ぐ〈ランバン コレクション メンズ〉が、洒脱な3作品をTシャツにした。

text: BRUTUS

「鬼平犯科帳」や「剣客商売」をはじめとした時代小説家と知られる池波正太郎は、美食家もしくは映画評論家としても知られ、多くの作品を残している。特にフランス映画好きとしても知られていて、現地を訪れた際にはその画才をいかんなく発揮し、多くの作品を残してきた。

独特のタッチで描かれる絵は、まるでフランス人が描いたものと言われても不思議ではないくらい、ヨーロッパの街の色合いや空気感を巧みに記録している。ここで紹介する絵の一枚「紳士と給仕」は、昭和52年に平凡社から発行されたエッセイ『散歩のときに何か食べたくなって』が、のちに新潮文庫になったとき、表紙にも採用されたもの。

池波正太郎
「Le meilleur d’Edokko 粋=élégant」と記されたロゴ
池波正太郎が伝え続けた江戸の“粋”と、フランスにおける“エレガンス”を重ね合わせた言葉として「Le meilleur d’Edokko 粋=élégant」と記されたロゴ。

これに目をつけたのが、スタイリストの祐真朋樹。クリエイティブディレクターとして参画する〈ランバン コレクション メンズ〉において、池波正太郎の作品をTシャツにした理由について、次のように語る。

「僕が池波正太郎さんを知ったのは21歳で、雑誌『POPEYE』編集部の仕事を始めた頃のこと。当時の先輩たちが推薦してくれたエッセイは、小気味よくて洒脱。当時はバイブルとして猛烈に読みまくりました。中でもフランス・パリを旅した話が多く、江戸っ子の審美眼を通して描かれていて秀逸。読んでいるとパリジャンとの共通点が多いのではないかと思ったんです」

今年、池波正太郎の生誕100周年ということもあり、希少なイラストの中から3作品がTシャツとして発売された。フランスのエスプリや、パリの自由で開放的な街の雰囲気などが、彼が伝え続けてきた江戸の“粋”と重なり合う。