予備知識不要、「古物の博物館」
暗幕が覆う入口から建物内に進むと、お宝の山が店の奥、2階にまで連なる。家具に雑貨や食器類、絵画やオブジェなどの装飾品、古着やアクセサリー、使い道がわからない何かまで。
共通するのは100年超えの骨董品ではなく、40~70年前のヴィンテージであること。老朽化した公共施設や旅館、古民家などの解体現場から“発掘”されたもので、価格は驚くほど安い。
キュレーションから修繕やメンテナンス、販売商品の撮影とインスタグラムでの紹介、ディスプレイまで、スタッフが一貫して手がける。だから営業は、毎週土曜日のみ。オーナーもキュレーターも前面には出ず、「主役はゲスト」というスタンスだ。
予備知識不要、触れて確かめられる「古物の博物館」。市場価値のあるものだけを選りすぐって並べた店ではなく、客が混沌から価値を見出す場は、欧州の蚤の市を思い出させる。