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歴史がありながら、新鮮なアウター。ファッションデザイナー・小林節正のハンティングジャケット

ブラウンのダック地に、襟がコーデュロイのハンティングジャケット。100年以上の歴史がありながら、今また新鮮なアウターだ。多数のアーカイブを持つ小林節正さんに、その魅力を聞いた。

photo: Keisuke Fukamizu / text & edit: Chizuru Ohba

私がハンティングジャケットに惹かれる理由の一つは、見ての通りポケット博覧会とでも言いたくなるほど多様なポケットのデザインです。写真は“ポケットをハンティング”する気持ちで集めたアーカイブの一部。たくさんのポケットを付けるために前身頃がデカイことが、ハンティングジャケットの特徴です。

譬(たと)えるなら、絵を描くための画用紙がデカイ、そんなところが楽しい。シルエットは似てるけど、見れば見るほどディテールの違いに目を奪われます。基本のポケットレイアウトが(01)だとすると、それに加えてハンドウォーマーポケットが付いたり(03)、散弾銃のカートリッジ入れが付いたり(07)。

(02)にはマッチを擦る紙を挟むポケットが内側にあって、マッチを入れるための小さい胸ポケット付き。これでもかっていうくらい、自由なアイデアの競い合いを感じられるのがワクワクするポイントです。最近様々なブランドでハンティングジャケットが注目されるのは、フッテージ(資料となる素材)としてデザイナーには魅力的なアイテムだからだと思う。

あと自分は、ちょっとずつ違う似たものが、類型学的に綿々と並んでいるところを眺めるのが好き。ベルント&ヒラ・ベッヒャーの写真を見ている時と同じような気持ちになれるんです。

(01)SEARS 30S

(02)DUXBAK 20S

(03)UNKNOWN 70S

(04)FISHUNTEX BY RED HEAD 50S

(05)HINSON 50S

(06)ALAMO 40S

(07)SQUALTEX 50S~60S

(08)BULLSEYE BILL 60S