太平洋のグランドキャニオン
島の7割ほどは徒歩でさえアクセスができないというカウアイ島。
手つかずの自然が見せる美しい光景のなかでも、ワイメア渓谷の眺めは圧巻。世界有数の降水量の多さで知られるワイアレアレ山頂から流れ込む雨水が、数千年をかけて溶岩の大地を浸食して、深く険しい“シワ”を刻んで出来上がったのがこの景色。太平洋随一のスケールを誇る渓谷だ。
1,000m以上えぐられた谷、切り立つ尾根、崖面を覆う緑の木々。“太平洋のグランドキャニオン”とも呼ばれる光景は、時間の推移に合わせて刻々と変化し、いつまで見ていても飽きることがない。車で行ける州立公園内の展望台から階段を上るだけで辿り着ける楽園の景色だ。
ロープを頼りに垂直な崖面を降りる「ラペリング」
カウアイ島でアウトドアツアーを行う〈DA LIFE〉のラペリングはごうごうと流れ落ちる滝を下るかなりワイルドなプログラムだが、全くの初心者でも参加できる
ハーネスで体を支える仕組みなどを実際の道具を使って崖面で練習したら、滝の頂上からゴー!
水しぶきを浴びながら滝つぼまで降りる快感はほかでは得られない。石に杭を打たず木に巻きつけてロープを固定するなど、自然に影響のない催行をしているのも魅力。
古き良きハワイの伝統を継承する町と人。
カウアイ島の小さな町ハナペペにある「アメリカ最西端の本屋(The Westernmost Bookstore in the United States)」を掲げる書店。
オンラインで本やアート、ゲームなどの販売を手がけていた店主のエド・ジャストゥスさんがこの土地に出会って2004年に開いた店で、新書、古本、ヴィンテージやコレクターズアイテムの書籍とコミック、レコードなども合わせて、15万点を擁する店となった。
ハナペペは、赤土の断崖絶壁からつながる渓谷の入口にある、古い木造の建物が立ち並ぶレトロタウン。この店をはじめ、若い人々が営むカフェやベーカリー、ギャラリーなどの出現で、おしゃれな一角に変化しつつある。
サーフィンのルーツ「アライアボード」
サーフィンのルーツとされ、古代のハワイアンたちが日常的に波乗りに使っていた木製ボード「アライアボード」。
技術の発展とともに、軽量で扱いやすいポリウレタンなど化学素材のボードに押されて姿を消し、長く文化が途絶えていたが、ルーツを辿るハワイアンたちを中心に再発見されつつある。
島の北東部にある静かなビーチのそばの町、アナホラで生まれ育ち、クロスフィットジムを営むケアカイもその一人。漁師だった祖父たちが乗りこなしていたアライアボードを独学で作り始め、これまでに100本以上を製作。余生はアライアボードのシェイパーとして生きたいと話す。