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インテリアスタイリストに聞く、小さなアートの飾り方

手に入れたアートの魅力を最大限に引き出せるかどうかは、飾り方にかかっている。配置の仕方やインテリアとの組み合わせなど、真似したくなるコツをインテリアスタイリストの川合将人さんに聞いてみた。

photo: Reiko Toyama / text: Masae Wako

家具と素材感を合わせ、全体の色数を抑える

日常空間にアートを取り入れるなら、家具や照明など周囲のインテリアアイテムと馴染ま
せることが大切だ。「アートと家具の素材感を合わせたり、全体の色数を抑えたりすると
まとまりやすい」と川合将人さん。アートそのものが居心地よさそうに見えることも重要。
窮屈な印象にならないよう、周りのモノとの距離や余白を十分に取ることを心がけたい。

POINT 1 カタマリをグルーピングする

川合将人の棚

「本やアートを棚に飾る時は、本を数冊ずつのカタマリと考える。アートとともに余白を取りつつ配置するときれいにまとまります」とインテリアスタイリストの川合将人さん。軽めのオブジェは上段、三原研の炻器(せっき)など重厚なものは下段に置くと安定する。本の表紙を見せて立て掛けても。

POINT 2 玄関には“会話の糸口”を

「玄関に飾るアートは、訪れた人との会話を盛り上げるコミュニケーションツールにもなる。来客の好みやキャラクターに合わせて掛け替えるのもいいですね」。写真のアートは川井田健晃(かわいだたけあき)。土と型紙を使った泥のステンシル作品だ。コートラックは作品を邪魔しないシンプルなものを選んで。

POINT 3 写真と緑で“窓”を作る

「窓のない空間では、屋外の景色や自然を感じる作品を選んで“窓”を作ると気持ちが明るくなります」。キャンプ風景を写したフォトコラージュは、イタリアの建築家集団〈スーパースタジオ〉作。植物や緑色のアイテムを合わせるのも効果的。照明は写真家マン・レイのデザイン。

POINT 4 隣の部屋から覗く壁に飾る

アートを飾る場所に迷ったら、隣の部屋や廊下からドア越しに眺めた時の風景を意識するのも手。「家具や照明と素材感を合わせると統一感が出て、上質な景色を作れるはず」。塗装壁に映えるオブジェは、合板の一部を剝がしたり裂いたり編んだりした佐藤伸昭の作。家具は〈FRAMA〉。

POINT 5 本を台座にする

「リビングテーブルにオブジェを設(しつら)える場合、厚手の本を台座代わりにするだけでアートが際立ち、存在感が出ます。本は何冊か重ねてもいいし、黒いテーブル・白い本・黒い作品など、コントラストをつけてもいい」。鉄製オブジェは金属作家・田中潤の作。抜け感があって気軽に飾れる。

POINT6 影のバラエティを楽しむ

「幾何学的なオブジェは、照明を当てて影の美しさも楽しみたい。シェードが可動式ならよりドラマティックに演出できます。窓辺に置いて自然光の柔らかな影を出しても」。パブロ・ピカソとドラ・マールをモチーフにした陶製のオブジェは、〈スタジオペペ〉の作。照明はセルジュ・ムイユ。